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メモリ価格が3〜4倍に高騰した2025年末、自作PCは「今買うべき」か「待つべき」か? 現実的な判断基準と構成案を徹底解説

👤 いわぶち 📅 2025-12-17 ⭐ 4.5点 ⏱️ 18m

ポッドキャスト

🎙️ 音声: ずんだもん / 春日部つむぎ(VOICEVOX)

📌 1分で分かる記事要約

  • 2025年のメモリ価格は異常高騰:DDR5 32GBが年初の約17,000円から12月に約69,000円へ(約4倍)、DDR4も約2~3倍に上昇
  • 原因はAIデータセンター向けメモリ需要の急増で、メーカーがHBM(高帯域幅メモリ)やサーバー向けDRAMを優先、PC向け供給が圧迫されている
  • 2026年も高値圏が続く見通しで、「待てば安くなる」という従来の前提は成立しにくい状況
  • 用途・納期・予算によって「今買う層」と「待つ層」が明確に分かれ、現実的な構成案(16GB/32GB/64GB)を選択する必要がある
  • 中古PC活用やDDR4環境の延命、BTO購入との比較など、複数の戦略を組み合わせることで、メモリ高騰時代の最適な選択が可能

📝 結論

2025年末のメモリ価格高騰は、単なる一時的な市場変動ではなく、AI需要によるDRAM供給構造の根本的なシフトが原因です。2026年も高値圏が続く可能性が高いため、「安くなるまで待つ」という戦略は現実的ではありません。代わりに、自分の用途・納期・予算を明確にした上で、「今すぐ必要な容量を確保する」「不要な容量は先送りする」「中古やDDR4延命を活用する」といった現実的なアプローチが求められます。本記事では、2025年末時点での価格データ、メモリ高騰の構造的要因、用途別の買い時判断基準、実現可能な構成案を提供し、読者が自分の状況に合わせた最適な選択ができるよう支援します。


2025年のメモリ価格高騰:現実はどこまで深刻か

価格高騰の具体的な数字

2025年を通じて、PC向けメモリ(特にDDR5)の価格は、過去数年では考えられないレベルの急騰を記録しました。以下は、実際の市場データに基づいた価格推移です。

DDR5メモリの高騰例(32GBキット基準)

  • 2025年1月:約17,000円
  • 2025年9月:約14,700~17,000円(横ばい)
  • 2025年12月:約69,000~78,000円
  • 上昇率:約4倍

DDR4メモリの高騰例(32GBキット基準)

  • 2025年1月:約7,800円
  • 2025年9月:約9,200円
  • 2025年12月:約15,000~28,890円
  • 上昇率:約2~3.1倍

DDR5がより大きく値上がりしているのは、新しい規格であり、生産ラインがまだ限定的で、かつAIサーバー向けの高性能メモリ需要に引っ張られているためです。一方、DDR4は相対的に上昇率が低いものの、すでに陳腐化が進んでおり、将来の供給継続性に不安があります。

完成品PCへの波及

メモリ高騰は、自作PCユーザーだけでなく、完成品PCの市場にも大きな影響を与えています。大手PCメーカーが相次いで値上げを発表・実施しており、その規模は決して小さくありません。

  • HP:2025年12月に全PCラインで約15%の値上げを実施
  • Dell:2026年1月から最大20%の値上げを予定
  • Lenovo:2026年2月から約18%の値上げを予定

さらに詳しく見ると、メモリ容量が大きいほど値上げ幅が顕著です。例えば、32GB搭載PCでは2~3.5万円、128GB搭載機では8~12万円の追加コストが発生しているケースも報告されています。これは、メモリがPC全体の価格に占める比率を大きく変えており、かつてのようにCPUやGPUが価格を決める時代から、メモリが支配的な要因になりつつあることを示しています。

メモリ以外のパーツ価格への連鎖

メモリ高騰の影響は、メモリだけに留まりません。SSD(NAND フラッシュメモリ)も同様の供給逼迫に直面しており、2025年末から2026年初にかけて最大50%の値上げが報告されています。これは、メモリとNANDが同じDRAM・NAND製造メーカーによって生産されており、AIデータセンター需要によって両者の供給が圧迫されているためです。

つまり、自作PCを組む際には、メモリとSSDの両方で高騰の影響を受けることになり、ストレージとメモリを合わせると、PC全体の構成コストに占める割合が従来の約10~15%から25%前後に上昇しているのが現状です。


なぜこんなことが起きているのか:AI需要による供給シフトの実態

AIサーバー・HBM需要の急増がすべての始まり

2024年から2025年にかけて、NVIDIA、AMD、Googleなどの大手テック企業がAI推論・学習用の大規模サーバーを大量導入し始めました。これに伴い、AI GPUに搭載される**HBM(高帯域幅メモリ)**と、サーバー向けの高性能DRAM需要が急激に増加しました。

HBMは通常のDDR5よりも製造難易度が高く、また利益率も大きく異なります。業界分析によると、DDR5の利益率が約20%であるのに対し、HBMは約60%と3倍近くになります。半導体メーカーの経営判断としては、同じウェハ(シリコン基板)を使うなら、利益率の高いHBMやサーバー向けDRAMを優先するのは当然の流れです。

DRAM市場全体の需要構造の変化

SK hynixの予測によると、DRAM需要に占めるサーバー向けの比率は以下のように変化するとされています。

  • 2025年:サーバー向け38%、コンシューマ向け(PC・スマホなど)62%
  • 2030年:サーバー向け53%、コンシューマ向け47%

つまり、わずか5年間で、サーバー向けがコンシューマ向けを上回るようになるということです。このシフトは、単なる需要の増加ではなく、メーカーの生産能力配分そのものの根本的な変化を意味しています。

さらに具体的には、OpenAIの「Stargate」計画などの大型AI投資では、月間最大90万枚のDRAMウェハーを確保することが議論されています。世界全体のDRAM生産能力が月間約225万枚であることを考えると、この一つのプロジェクトだけで世界全体の約40%のDRAMウェハ生産能力を占める可能性があります。

「安全在庫」の枯渇と供給能力の立ち上げ遅延

2022~2024年前半にかけて、メモリは過剰供給と価格低迷が続き、各メーカーは設備投資と生産を抑制していました。その時期に、メーカーは安全在庫も薄くしていたのです。

ところが、2024年後半のAIブーム急加速により、需要が急激に増加しました。新しい工場やラインの立ち上げには数年かかるため、短期~中期では供給能力の制約が非常に強くなり、これが価格高騰の主要な要因になっています。

メーカーが「2026年以降も供給不足が続く可能性がある」とコメントしているのは、この立ち上げ遅延の現実を反映しているのです。

Micron(Crucial)の撤退による競争減少

2025年12月、Micronはコンシューマ向けメモリ・ストレージ事業からの撤退を発表し、Crucialブランドの製品は2026年2月で出荷終了予定とされています。これは、DRAM三社(Samsung、SK hynix、Micron)の中から一社が撤退することを意味し、競争環境がさらに厳しくなることを示唆しています。

撤退の背景には、やはりAI向けメモリへの経営資源集中があります。Micronは、利益率の低いコンシューマ向けメモリよりも、HBMやサーバー向けメモリへの投資を優先する経営判断をしたわけです。


2026年の価格見通し:「待てば安くなる」は本当か

業界アナリストの予測をまとめると

複数の業界調査会社やメーカーのコメントを総合すると、2026年のメモリ価格についての見通しは以下の通りです。

2026年前半~中盤の見通し

  • 高止まり~さらに10~20%の上昇リスク(TrendForce、TeamGroup GMのコメント)
  • 2026年全体では依然として高値圏が続く可能性が濃厚
  • 供給不足が解消される見通しは立っていない

本格的な正常化時期

  • 楽観シナリオ:2026年末ごろからようやく落ち着き始める
  • 現実的シナリオ:2027~2028年で徐々に正常化へ向かう
  • いずれのシナリオでも、新しい均衡点は2024年以前より高い水準になると予想されている

つまり、「2025年末に高いから、2026年春~夏には安くなるだろう」という期待は、現在の市場見通しとしては根拠に乏しいということです。むしろ、2026年も高値圏が続く可能性が高く、本格的な値下がりを期待するなら、2027年以降を視野に入れる必要があります。

SSDも同様の高騰が続く見込み

NAND側の見通しも同様に厳しいものです。2026年のNAND需給見通しとしては、以下が予測されています。

  • 2026年の需要成長率:20~22%
  • 2026年の供給成長率:15~17%
  • 約3%の供給不足が2026年通年で継続(Gartner予測)

つまり、SSDもメモリと同じく供給不足が続き、価格上昇圧力が2026年を通じて続くということです。


「今買うべき層」と「待つべき層」:用途別の判断基準

メモリ高騰時代だからこそ、自分の状況を正確に把握した上で、「今買う」「待つ」「構成を変える」を判断する必要があります。以下は、用途別・状況別の判断基準です。

ゲーム用途での判断

今買うべきゲーマーの条件

  • 現在8GBまたは16GBで、最新AAAタイトルで頻繁にカクつき、テクスチャ崩れ、読み込み遅延が発生している
  • GPU・CPUは比較的新しく(RTX 4070以上、第13世代Intel以上など)、メモリだけが明確なボトルネック
  • eSports配信や競技での安定フレームレートが収益や成績に関わっている

このような層では、高騰局面でも16GB→32GBへの増設がPCの実用性に直結するため、メモリ購入の優先度は高いです。

待つ選択肢を取りやすいゲーマーの条件

  • フルHD中心、中設定で満足しており、既に16GB搭載で明確な問題がない
  • フルHD低設定のインディーゲームやESports系タイトルが中心
  • 2~3年先にプラットフォームごと組み替える計画で、現在のマシンは繋ぎ用途

クリエイティブ用途(動画編集・3D・写真・AI)での判断

クリエイティブ用途は、メモリ需要が非常に用途依存的です。

4K動画編集の場合

  • 16GB以下で、タイムライン再生やレンダリング時に頻繁にフリーズ・クラッシュが発生している
  • 毎回ディスクスワップが発生し、大幅な時間ロスになっている
  • 案件・収益がメモリ不足で明確に毀損されている(納期ギリギリ、同時進行案件数を抑えざるを得ないなど)

このような場合は、32GB→64GBへのアップグレードが直接的に生産性向上に繋がるため、高騰局面でも購入の正当性があります。

RAW現像・Photoshop高解像度レタッチの場合

  • 32GB で現状の案件をこなせており、RAM不足での明確なトラブルが少ない
  • 納期や売上への影響が軽微
  • 4K/8K・3D・AIなど重いワークロードは「今後の拡大予定」であって、現時点では「試行段階」

このような場合は、現在の構成で十分であり、メモリ購入を先送りする選択肢が取りやすいです。

事務作業・一般用途での判断

今買うべき層

  • 8GB以下で、ブラウザ+Office+Teams/Zoom等同時利用で明確に動作が重い
  • 業務効率に悪影響(入力遅延・頻繁なフリーズ)が出ている
  • 在宅勤務・リモート会議が業務の中心で、PCがインフラとして必須
  • 数年は同じPCを使い続ける予定で、16GBへの増設が長期的に見ても費用対効果を得やすい

待つ選択肢を取りやすい層

  • すでに16GB搭載で、体感上ほとんど問題がない
  • メモリ以外(CPU世代・ストレージ)のほうが体感ボトルネックになっている
  • 2~3年後にノートPC買い替えを予定しており、現行デスクトップの延命価値が低い

2025年末の現実的な自作PC構成案

メモリ高騰を踏まえ、現実的で実現可能な自作PC構成案を、予算別に3パターン提案します。価格は2025年12月時点の秋葉原・Amazon実売平均を参考にしており、メモリ高騰を反映した水準になっています。

構成案1:コスパ重視型(日常・軽作業向け、総予算約15万円)

このパターンは、ブラウザ・Office・動画視聴など、日常的な作業がメインで、ゲームは軽いインディータイトル程度という層を想定しています。

パーツ製品例価格
CPUAMD Ryzen 5 7600約3万円
マザーボードB650 チップセット約2万円
メモリDDR5-6000 32GB (16GB×2)約3万円
GPURTX 4060約4万円
SSD1TB NVMe M.2約1.5万円
電源650W 80+ Bronze約1万円
ケースミドルタワー約0.5万円
総額約15万円

このパターンのポイント

  • メモリは32GB(16GB×2)を最小構成とします。2025年末時点では、16GBと32GBの価格差が意外と小さく(数千円程度)、将来的な拡張性を考えると32GBスタートが合理的です
  • Ryzen 5 7600はAPU(内蔵GPU)を備えており、GTX 1650程度の軽いGPUなら不要な場面もあります。ただし、ゲームやクリエイティブに少しでも対応したい場合はRTX 4060を推奨します
  • SSDは1TBとしていますが、2026年も値上がりが続くため、今のうちに確保しておくことが重要です

構成案2:バランス型(ゲーミング・軽クリエイティブ向け、総予算約25万円)

このパターンは、フルHD~1440p高設定でのゲーミング、4K 30fps程度の動画編集、RAW現像など、中程度の負荷に対応したい層を想定しています。

パーツ製品例価格
CPUAMD Ryzen 7 7700X約5万円
マザーボードX670 チップセット約3万円
メモリDDR5-6000 32GB (16GB×2)約3万円
GPURTX 4070 Ti約10万円
SSD2TB NVMe M.2約3万円
電源850W 80+ Gold約1.5万円
ケースフルタワー約1.5万円
総額約27万円

このパターンのポイント

  • メモリは依然として32GB(16GB×2)が基本です。4K動画編集を本格的に始める場合は64GB(32GB×2)への増設を視野に入れておくと良いですが、2025年末時点では64GBキットが6~7万円と非常に高いため、後からの増設を前提にします
  • Ryzen 7 7700Xは8コア16スレッドで、ゲーム・クリエイティブの両立に適しています
  • RTX 4070 Tiは、1440p高設定での快適なゲーミング、4K 30fps程度の動画編集に対応できます
  • SSDは2TBにしており、4K素材の保存やゲームのインストール容量を考えると、このレベルが実用的です

構成案3:高性能型(プロクリエイティブ・AI向け、総予算約40万円)

このパターンは、4K以上の動画編集、3Dレンダリング、ローカルAI推論など、高い性能が必須な層を想定しています。ただし、64GB メモリの採用については、現在の価格水準を考慮した選択を迫られます。

パーツ製品例価格
CPUAMD Ryzen 9 7950X3D約10万円
マザーボードX670E チップセット約4万円
メモリDDR5-6000 32GB (16GB×2) ※64GB検討時は6~7万円追加約3万円
GPURTX 4090約20万円
SSD2TB NVMe M.2約3万円
電源1000W 80+ Platinum約2万円
ケースハイエンドケース約2万円
総額(32GB)約44万円
総額(64GB)約50万円以上

このパターンのポイント

  • 4K/8K動画編集や3Dレンダリングを本格的に行う場合、64GBメモリが実務的なラインですが、2025年末時点では64GBキットが6~7万円と非常に高価です
  • 代替案として、32GBでスタートし、2026年後半~2027年にかけて32GBを追加して64GBに増設する戦略も検討の価値があります
  • RTX 4090は非常に高価ですが、4K以上の動画編集やAI推論を高速化するためには、現時点での最適な選択肢です
  • Ryzen 9 7950X3Dは、3Dレンダリングや複雑な編集処理に強く、クリエイティブワークステーションとしての適性が高いです

構成選択時の重要な注意点

メモリ容量の判断

  • 2025年末時点では、16GBと32GBの価格差が小さいため、16GBでスタートするメリットが薄れています
  • 32GBと64GBの差は非常に大きい(3倍以上)ため、64GBが本当に必要かを厳密に判断する必要があります
  • 「将来のための安心枠」として64GBを選ぶのは、現在の価格水準では難しい判断です

DDR4 vs DDR5の選択

  • DDR4は上昇率が低い(約2倍)ものの、新しいCPUソケット(AM5)はDDR5が標準になっており、DDR4環境の延命は一時的な戦略に過ぎません
  • DDR4環境が現在あるなら、CPU交換なしでメモリだけ増設する選択肢もありますが、将来のアップグレードを考えるとDDR5への移行は避けられません

在庫・納期の確認

  • 2025年12月時点で、メモリ在庫が急速に減少しており、年末年始にかけてさらに逼迫する可能性があります
  • 購入前に、複数のショップで在庫状況を確認し、「今週中に手に入るか」を確認することが重要です

「待つ」戦略を取る場合の具体的な代替案

メモリ購入を先送りすることを選択した場合、以下のような具体的な代替案が考えられます。

既存メモリを活かした部分アップグレード

現在DDR4環境を使用しており、CPU・GPUはまだ十分な性能がある場合、DDR4のままCPU/GPUだけを更新する戦略が有効です。

例えば、Ryzen 5 3600 + DDR4-3200 16GBの環境から、Ryzen 7 5700X + DDR4-3600 16GB への交換なら、メモリはそのまま流用でき、CPU性能を大幅に向上させることができます。ただし、AM4ソケットは2025年で事実上のサポート終了となるため、この戦略は「1~2年の繋ぎ」という位置づけになります。

ストレージ・OSクリーンアップで体感向上

メモリ増設よりも手軽な改善として、以下の施策が考えられます。

  • SATA HDD→SSD への交換:ただしSSDも値上がり中のため、コスト確認が必要
  • 常駐アプリの削減:バックグラウンドプロセスを整理し、メモリ使用量を削減
  • ブラウザタブ管理:複数タブを開きすぎないようにして、メモリ圧力を軽減
  • ディスク容量の確保:スワップメモリの効率が悪くなるため、ディスク空き容量を確保

これらの施策は、メモリ増設ほどの劇的な改善は期待できませんが、数千円の投資で一定の改善が得られる点が利点です。

クラウド・リモート環境の活用

重い編集やAI処理をクラウドワークステーション・レンダーファームにオフロードする戦略も選択肢です。

  • クラウドワークステーション(例:Adobe Creative Cloud、Autodesk Fusion 360など)を利用して、ローカルメモリの負荷を軽減
  • レンダーファーム(Render.comなど)を使用して、3Dレンダリングを外部処理
  • Google Colabなどで、ローカルAI処理を補助

これらのサービスは月額課金が必要ですが、ローカルハードウェア投資を先送りしながら、必要な機能を得られる利点があります。

中古PC活用による選択肢

2025年末時点で、中古PC市場では比較的手頃な価格でメモリを多く搭載したモデルが流通しています。例えば、Core i7搭載のデスクトップが16,500~30,580円程度で入手でき、メモリ8~16GB搭載のものが一般的です。

新規自作ではなく、中古PCを購入してメモリを増設する戦略も、メモリ高騰時代では現実的な選択肢になります。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 状態の確認:B/Aランク品中心、無期限保証付きを選ぶ
  • 最新OS対応:Windows 11対応のCPU世代か確認
  • 新品SSD搭載:中古品でもSSD換装済みのモデルを優先
  • キャンペーン活用:年末年始セール(最大30% OFF)や買取UP期間を狙う

メモリ価格をモニタリングするための実践的な方法

メモリ購入を先送りする場合、または「安くなったら買う」という戦略を取る場合、価格トレンドを継続的に追跡することが重要です。以下は、実際に活用できるモニタリング手法です。

価格追跡ツールの設定

Amazon、秋葉原オンラインショップなどで、以下のツールを活用して価格アラートを設定します。

  • Keepa(Amazonの価格推移グラフ):目的の容量・規格(例:DDR5-5600 32GB)に対して、「自分の許容価格」でアラートを登録
  • 国内ショップの週次チェック:秋葉原やドスパラ、パソコン工房などで、同じ型番の価格を週1回メモ

具体的には、以下のような表を作成して、価格推移を記録します。

日付製品名価格ショップ前週比
2025/12/17DDR5-6000 32GB69,000円Amazon-
2025/12/24DDR5-6000 32GB71,000円Amazon+2,000円
2025/12/31DDR5-6000 32GB68,000円秋葉原-3,000円

このような記録を続けることで、「短期的なトレンド」「底値の水準」「買い時の目安」が見えてきます。

市況ニュースの定点確認

DRAM・NANDメーカーの値上げ情報をフォローすることで、将来の店頭価格をある程度予測できます。

  • SanDiskの全製品値上げ、NAND契約価格50%上げなどのニュース
  • Micronの20~30%値上げ+見積り停止
  • TeamGroup GMの「2026年前半にはより深刻な事態」というコメント

これらのニュースが出た場合、数週間~数ヶ月後に小売価格に波及する傾向があります。月1回程度、業界ニュースをチェックして、将来の価格トレンドを予測することが重要です。


「今買うべき」と判断した場合の購入チェックリスト

メモリ購入を決断した場合、以下のチェックリストに従って、最適な製品選択と購入タイミングを判断してください。

購入前の確認項目

  • 現在のPCで業務・学習・制作に支障が出ているか(はい/いいえ)
  • 必要なメモリ容量を明確にした(16GB/32GB/64GB以上)
  • PCの入れ替えデッドライン(3カ月以内/半年以内/1年以内)を決めた
  • 総予算の上限を決めた(例:総額20万円でRAM上限4万円)
  • 既存マザーボードの最大メモリ搭載量を確認した
  • DDR5 vs DDR4の選択を決めた(新規はDDR5推奨)

製品選択時の確認項目

  • メモリのクロック速度・遅延(CL)を確認(DDR5-6000 CL36推奨)
  • XMP / DOCP対応を確認(自動オーバークロック機能)
  • マザーボードとの互換性をBIOS更新で確認
  • メーカー保証期間を確認(できれば無期限保証)
  • 複数ショップの価格を比較(秋葉原・Amazon・楽天など)
  • 在庫状況を確認(今週中に入手可能か)

購入タイミング

  • 年末セール(12月末)やセール期間を狙う
  • メーカーの値上げ前に購入する(月初の値上げ情報をチェック)
  • 複数ショップの在庫状況を比較し、最も手に入りやすいタイミングを選ぶ
  • ポイント還元やキャッシュバックキャンペーンを活用

BTO・メーカー製PCとの比較検討

自作PCが最適とは限らない場合もあります。メモリ高騰時代だからこそ、BTO(Build To Order)やメーカー完成品との比較も重要です。

自作 vs BTO の価格比較ポイント

メモリ高騰により、メーカー完成品の値上げが相次いでいます。一方、BTOショップ(ドスパラ、フロンティア、マウスコンピュータなど)は、大口仕入れのため一時的には「自作より割安なメモリ単価」が維持される場面もあります。

具体的な比較方法:

  1. 自作構成の見積もり:CPU/GPU/メモリ/SSD/MB/ケース/電源の合計
  2. BTO構成の見積もり:同等スペックのBTO製品の価格
  3. メモリ容量あたりの単価を計算し、どちらが有利か判定

例えば、自作で32GB DDR5を3万円で購入する場合と、BTO製品に同じメモリが搭載されている場合の単価差を比較します。

BTOショップの最新キャンペーン情報

2025年12月時点で、BTOショップが実施しているキャンペーンの例:

  • パソコン工房:「スーパー中古の日」(12月中複数日)で買取価格10% UP
  • PC WRAP:高スペック Surface Laptop や OptiPlex Micro を追加投入
  • PCバル:年末年始セール(12月12日~1月14日)で中古PC最大30% OFF

これらのキャンペーンを活用することで、新規自作よりも手頃な価格で高性能PCを入手できる可能性があります。


よくある質問と答え

Q1:DDR4とDDR5、どちらを選ぶべき?

A: 新規自作ならDDR5一択です。理由は以下の通り:

  • 新しいCPUソケット(AM5、LGA1700など)はDDR5が標準化されている
  • DDR4は陳腐化が進み、将来のアップグレードが難しくなる
  • 価格差は高いですが、長期的な資産価値を考えるとDDR5が合理的

ただし、既存のDDR4マザーボードがあり、CPUだけ交換する場合は、DDR4を継続利用する選択肢もあります。

Q2:16GBと32GBの価格差が小さいなら、32GBを買うべき?

A: はい、2025年末時点では32GBをお勧めします。理由:

  • 16GBと32GBの価格差が数千円程度に縮まっている
  • 事務作業でも16GBが実務的な基準ラインになりつつある
  • 将来の増設を考えると、32GBスタートが合理的

ただし、本当に16GBで十分な用途(事務作業のみ)なら、16GBでコストを抑える選択肢もあります。

Q3:64GBは必要?

A: 以下の場合に限定されます:

  • 4K/8K動画編集を本格的に行っている
  • 3Dレンダリングで大規模シーンを扱っている
  • ローカルAI学習(大規模モデル)を実施している

それ以外の場合は、32GBでスタートして、必要に応じて後から増設する戦略が現実的です。

Q4:メモリ高騰が続く中、いつまで待つべき?

A: 以下の目安を参考にしてください:

  • 3カ月以内に必要:今すぐ買う
  • 半年~1年先でもいい:2026年Q2~Q3を目安に価格をモニタリング
  • 1年以上先でもいい:2027年まで待つ価値あり

ただし、待つ間に他のパーツ(GPU・CPUなど)も値上がりする可能性があるため、「待つ」は総合的に判断する必要があります。


最後に:2025年末、あなたが取るべき行動

メモリ価格高騰時代は、かつてのように「待てば安くなる」という単純な戦略では通用しません。代わりに、以下のステップで自分の状況に合わせた最適な判断をしてください。

ステップ1:自分の状況を把握する

  • 現在のPCで支障が出ているか
  • 用途と必要なメモリ容量は何か
  • PCが必要な時期はいつか

ステップ2:「今買う」「待つ」を判断する

  • 支障が大きく、期限が迫っているなら:今買う
  • 支障が小さく、時間的余裕があるなら:価格をモニタリングして待つ

ステップ3:購入方法を選択する

  • 自作PC(最適な容量を選べる)
  • BTO(メーカー値上げ前の価格が有利かもしれない)
  • 中古PC(メモリ搭載量が多く、メモリ高騰の影響が小さい)

ステップ4:長期的な視点を持つ

  • 2027~2028年の正常化を視野に入れて、「今後のアップグレード計画」を立てる
  • 急いで64GBを買わず、必要に応じて段階的に増設する戦略を検討

メモリ高騰は、確かに自作PCユーザーにとって厳しい環境です。しかし、正確な情報と現実的な判断があれば、最適な選択は十分に可能です。本記事の情報を参考に、あなたのPCライフに最適なソリューションを見つけていただければ幸いです。

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