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エンジニアの物欲との戦い:3台のタブレット+MacBook Air M1で最適な開発環境にたどり着くまで

👤 いわぶち 📅 2025-12-05 ⭐ 4.5点 ⏱️ 20m

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🎙️ 音声: ずんだもん / 春日部つむぎ(VOICEVOX)

はじめに:物欲とデバイス選定の葛藤

エンジニアとして、ガジェット好きとして、常に頭の中にあるのは「今の構成で足りているのか?」という問い。

POCO Padを購入したばかりなのに、Alldocube iPlay 70 mini Ultraが欲しくなる。MacBook Air M1に買い替えたばかりなのに、新しいタブレットのスペック表を眺めては「これなら自分の用途に合うかも」と考える。

このサイクルは、単なる物欲の発露なのだろうか。それとも、本当に必要な最適化の過程なのだろうか。

この記事では、レッツノート LV7からMacBook Air M1への乗り換え、POCO Padの導入、そしてiPlay 70 mini Ultraへの欲望という、7年にわたる開発環境の進化を通じて、「複数デバイスを持つことの本当の価値」と「物欲との付き合い方」を、エンジニア視点で言語化していく。

エンジニアがタブレット・ノートPCを選ぶ際に重視すべき基準

複数のデバイスを持つようになると見えてくるのは、デバイス選定には明確な基準が必要だということだ。感情的に「欲しい」と思うのではなく、その選定が本当に正当なのかを問い直すプロセスが重要になる。

1. 開発に十分な性能(CPU・メモリ・ストレージ)

エンジニアにとって性能は、単なるスペック表の数字ではなく、実際の開発体験に直結する要素だ。

ノートPCの場合、CPUは「ミドルレンジ以上」を基準にするのが無難だ。Apple Siliconなら M1以上、Intel系ならCore i5以上、AMD系ならRyzen 5以上といったところが、IDEやコンテナ、ブラウザの多数タブを同時に開いても破綻しにくい下限ラインになる。

メモリに関しては、開発用途では16GBが実質的な下限だ。Docker、複数のVM、エミュレータを使う場合は32GBも検討対象になる。私がレッツノート LV7で8GBを使っていた時代は、ブラウザでタブを10個以上開きながらVS Codeとターミナルを動かすと、すぐにスワップが発生して体感速度が大きく低下していた。MacBook Air M1で16GBに増やした時の快適さの差は、正直なところ「別のマシンを使っている」くらいの違いがある。

ストレージは必ずSSD、できればNVMe方式を選ぶべきだ。ローカルでコンテナイメージや依存パッケージを多く抱えるなら、512GB~1TBが現実的なラインになる。特に開発環境では、node_modules、Docker イメージ、仮想環境のファイル群が急速に膨れ上がるため、「256GBあれば大丈夫」という判断は後々後悔しやすい。

タブレット単体で開発する場合は、メモリ・ストレージが絞られがちなので、役割を明確にしておくことが重要だ。フルIDEを動かすのではなく、GitHub Codespaces や GitPod といったクラウドIDE前提、あるいはSSHクライアント+リモートサーバー前提という使い方を最初から決めておくと、デバイス選定の失敗を減らせる。

2. 画面サイズ・表示領域・ペン入力

コーディング用途では「解像度と情報量」が極めて重要だ。

ノートPCならフルHD以上、できればWQHD(2560×1440)クラスがあると、エディタ・ドキュメント・ブラウザを並べて表示しやすくなる。特に、左半分にコード、右半分にドキュメントを表示するような作業スタイルを取る場合、解像度の差が作業効率に大きく響く。

モバイルタブレットは、8~9インチクラスを「メモ・ビューア専用」、11インチ前後を「軽作業もできるサブ開発端末」として使い分けると役割がはっきりする。POCO Padの11インチディスプレイは、自宅でのドキュメント閲覧やSlack・Teams の確認に最適だ。一方、iPlay 70 mini Ultraの8.8インチは、通勤電車の中でコードを眺めたり、ベッドサイドでブラウザを操作したりするのに向いている。

ペン入力がある場合、コードレビューへの手書きコメント、図解、設計メモなどに活用できるため、「手書きノート+ホワイトボード代わり」として iPad/Android タブレットを組み込む構成は相性が非常に良い。特にエンジニアチーム内での設計会議や、複雑なアーキテクチャを議論する際に、手書きで図を描いて共有できるのは大きな利点だ。

画面比率も見落としやすいが重要だ。4:3~3:2 は縦方向の情報量が増え、ログやコードの読みやすさに寄与する。16:9の横長比率よりも、正方形に近い比率の方が、ターミナルやエディタの表示に適している。

3. キーボード・ポインティングデバイス・入力快適性

エンジニアにとって「打鍵感」「キー配列」「トラックパッドの精度」は、CPUやメモリと同じくらい生産性に効く要素だ。できれば実機でのタイピング確認を強く推奨する。

ノートPCを選ぶ際は、ホームポジションがずれない配列(特にEnter周辺や矢印キーのサイズ・位置)、長時間打っても疲れにくいストロークの深さを確認することが失敗を減らす。レッツノート LV7は堅牢性で定評があるが、キーボードの打鍵感は好みが分かれるポイントだ。MacBook Air M1に替えた時に感じたのは、キーボードの反応速度とバタフライキーボード特有の「素早い反応」で、タイピングスピードが若干上がったことだ。

タブレットの場合、必ず「外付けキーボード込みで考える」ことが重要だ。純正キーボード、あるいは信頼できるメカニカルキーボードを組み合わせ、膝上・狭い机での安定性もチェックしておくべき。POCO Padは11インチの大きさがあるため、キーボードケースとの相性が比較的良いが、iPlay 70 mini Ultraのような8.8インチ機は、キーボード選びがより重要になる。

エディタショートカットやターミナル操作が多いなら、OS標準の配列に近いキーボードを選んでおくと、タブレット・PC間の乗り換えストレスが小さくなる。

4. モビリティ(重量・バッテリー・携行性)

毎日持ち運ぶメイン機は「1.4kg前後まで」を一つの目安にするのが良い。それ以上重い場合は「オフィス/自宅据え置きメイン機+軽量タブレット」の2台構成の方が総合的に快適なことが多い。

レッツノート LV7は堅牢性の代わりに若干重めだったが、MacBook Air M1は1.24kgと軽く、毎日のバッグ持ち運びでもストレスが少ない。この重量差は、毎日の積み重ねで大きな疲労差を生む。

タブレットを複数台持つ構成なら、1台は「常にバッグに入れっぱなしでも苦にならないサイズと重さ」にしておくと、移動中の読書・コードレビュー専用として活きる。iPlay 70 mini Ultraの約350~450gという重量は、まさにこの「常時携帯可能」というポジションを狙ったものだ。

バッテリーは「1日1フル稼働(外出先でACなしで4~6時間実作業できるか)」が実用ラインだ。ノートPCは公称値より少なめに見積もるのが現実的だ。MacBook Air M1は公称で15時間とうたわれているが、実際には重い開発作業をしていると8~10時間程度が目安になる。それでも、レッツノート LV7で5時間程度だったことを考えると、大きな改善だ。

急速充電やUSB-C PD対応の有無をそろえておくと、「共通充電器1個+モバイルバッテリ」で3台構成でも配線ストレスを減らせる。POCO Pad、iPlay 70 mini Ultra、MacBook Air M1がすべてUSB-C対応なのは、運用上大きなメリットだ。

5. OS・開発環境・エコシステム

iOS/macOSアプリ開発をするなら MacBook がほぼ必須だ。Webバックエンド中心やフロントエンド中心なら macOS / Linux / Windows いずれでも良いものの、UNIX 文化やツールとの相性を考えると macOS を選ぶエンジニアは依然多い。

タブレットは「ローカル開発」より「リモート開発クライアント」と割り切ると選定が楽になる。SSHクライアントの質、外付けキーボードとの相性、Split View/マルチウィンドウの使いやすさがポイントになる。

3台構成(MacBook+大型タブレットPOCO Pad+小型タブレットiPlay 70 mini Ultra)を組む場合、それぞれに明確な役割を割り振ると冗長感が減る。

MacBook Air M1:フルIDE・ビルド・Docker・検証用ブラウザなど「重い開発作業」を担当。開発の中心軸となる。

iPad:手書きメモ、PDF/技術書閲覧、会議用サブディスプレイ、デザイン確認。Sidecarでサブモニタ化も可能。

POCO Pad:Android検証機、ドキュメント閲覧、ブラウザ多タブ運用、動画・エンタメ。自宅据え置き。

iPlay 70 mini Ultra:通勤・移動時の軽量検証機、メモ、チャット、通知モニタリング。常時携帯。

6. 拡張性・接続性(ポート・外部ディスプレイ・ネットワーク)

エンジニア用途では「外部ディスプレイ前提」のケースが多いため、ノートPCはUSB-C(Alt Mode)で4K出力ができるか、HDMIポートがあるか、ドックでどこまで拡張できるかを確認すべき。

MacBook Air M1はUSB-C×2ポートで、Thunderbolt 3対応なので、外部ディスプレイ出力も給電も同時に行える。これは、自宅でのデスク環境構築において大きな利点だ。

タブレットは、Bluetoothキーボード・マウスの安定性、USB-Cハブを噛ませたときの挙動(給電しながら外部ディスプレイ出力できるか)が実用性の差になる。POCO Padはこの点で比較的対応が良く、USB-Cハブを経由して外部ディスプレイに接続することも可能だ。

ネットワークは、開発で大量のライブラリダウンロードやコンテナイメージ取得を伴うため、Wi‑Fi 6以上対応が望ましい。モバイル回線常時接続が欲しければセルラー対応タブレットを1台混ぜる設計も有効だ。

7. 価格と役割分担(コスパ・冗長性)

すべてを「1台で完結させよう」とすると高額になりがちなので、「ビルド・デバッグの責任はMacBook」「閲覧・メモ・リモート接続は安価なAndroidタブレット」のように、価格帯の違うデバイスを役割で切り分けるとコスパが良くなる。

POCO Pad クラスは「大画面・高コスパでサブディスプレイ/ドキュメント閲覧・簡易開発端末」として優秀で、iPlay 70 mini Ultraのような小型機は「常時持ち歩きの情報端末」として割り切ると、3台構成でも無駄になりにくい。

投資配分としては「本命の開発マシン(MacBook Air M1など)に最も予算を割き、タブレットは上限を決めて複数台」という戦略が、結果的にコスト効率が良くなる傾向がある。

レッツノート LV7からMacBook Air M1への乗り換え:7年の進化

LV7を選んだ時代背景

レッツノート LV7を購入したのは、専門学校時代のことだ。今から7年以上前の話になる。当時の選定基準は「軽くて、落としても壊れにくくて、ちょっとスペックがいい」というシンプルなものだった。

レッツノート LV7は、その要件を見事に満たしていた。堅牢性は定評があり、落下テストや耐圧テストをクリアしているため、学生時代の「ラフな使い方」にも耐えられた。重量も1.4kg前後と軽く、毎日学校に持ち運ぶのに苦にならなかった。

しかし、7年の月日は確実にマシンを蝕んでいった。

LV7の限界が見え始めた時期

数年前から、LV7の限界が明らかになり始めた。

メモリ不足の悩み:8GB という構成は、当時は「十分」だったかもしれないが、Webアプリケーション開発の複雑化に伴い、次第に息切れするようになった。VS Code、Chrome(多数タブ開き)、Docker、Slack、ターミナル を同時に動かすと、すぐにスワップが発生する。ビルド時間が異常に長くなり、ただでさえ遅いビルドプロセスがさらに遅くなる悪循環に陥った。

バッテリー劣化の加速:購入から5年を超えた頃から、バッテリーの劣化が顕著になった。公称駆動時間は7時間程度だったはずだが、実際には2~3時間でAC アダプタが必須になった。外出先での作業時間が制限され、カフェやコワーキングスペースでの開発効率が大きく低下した。

ファンノイズの増加:老化に伴い、ファンが頻繁に回るようになった。特に夏場は、ブラウザでタブを多く開いたりビルドを走らせたりすると、ファンが高速回転して排気音が大きくなる。静かなカフェや図書館での作業は、周囲に迷惑をかけるのではないかという心配さえ生まれた。

キーボード・タッチパッドの経年劣化:毎日のタイピングで、キーボードの反応が鈍くなり始めた。タッチパッドも感度がやや落ち、マウスなしでの作業が若干ストレスになるようになった。

MacBook Air M1への乗り換え理由

LV7の限界が見え始めた時、次のマシンの候補として複数の選択肢を検討した。

Intel系ノートPC:HP Pavilion、ASUS VivoBook、Lenovo ThinkPad など、Windows系の選択肢も検討した。しかし、バッテリー駆動時間や熱設計の面で、MacBook Air M1の性能に及ばないと判断した。

MacBook Pro:より高性能なオプションもあったが、予算と携行性のバランスを考えると、MacBook Air M1で十分だと判断した。

iPad Pro + 外部キーボード:タブレット中心の開発環境も検討したが、やはりローカルでの開発(特にDocker、複数言語環境の構築)を考えると、フルOSが必要だと結論づけた。

最終的にMacBook Air M1を選んだ理由は、以下の点に集約される。

  1. Apple Siliconの省電力性:ファンレス設計で、高負荷時でも静か。バッテリー駆動時間が実用的(8~10時間の開発作業)。

  2. 統一されたエコシステム:iPad、iPhone との連携(Sidecar、ユニバーサルコントロール)により、複数デバイス間のシームレスな作業が可能。

  3. 開発環境の充実:Rosetta 2 による互換性、Native Apple Silicon対応のツール・言語の充実。

  4. 携行性:1.24kgという軽さで、毎日の持ち運びが苦にならない。

MacBook Air M1導入後の変化

MacBook Air M1に買い替えた後、開発環境は劇的に改善された。

メモリ余裕の実感:16GB という容量は、VS Code、Chrome(20タブ以上開く)、Docker、Slack、ターミナル、Notion を同時に動かしても、スワップの頻度がほぼゼロになった。ビルド時間も短縮され、開発の流れが途切れなくなった。

バッテリーの安心感:朝フル充電して、夜まで AC アダプタなしで開発作業ができるようになった。この「どこでも作業できる自由度」は、思っていた以上に大きなストレス軽減になった。

静音性による快適さ:ファンレス設計のため、どんな負荷をかけても基本的に無音。ビデオ会議中にビルドを走らせても、排気音で迷惑をかけることがなくなった。

熱設計の改善:膝上での作業でも、不快な熱さを感じなくなった。ソファやベッドでのリラックスした姿勢での開発も可能になった。

POCO Padの導入:「大画面・高コスパ」の価値

なぜタブレットが必要だったのか

MacBook Air M1で開発環境が改善された後、次に考え始めたのは「タブレットの活用」だった。

開発中に、複数の情報源を同時に参照する場面が多いことに気づいた。例えば:

  • ドキュメント(API仕様、技術書)を見ながらコードを書く
  • Slack で チーム からのコメントを確認しながら開発を進める
  • 複数のブラウザウィンドウを開いて、異なるサービスの動作を確認する

MacBook Air 単体でこれらをすべてこなすことは可能だが、外部ディスプレイなしでは「ウィンドウの切り替え」が頻繁に発生し、作業効率が落ちる。

そこで、「サブディスプレイ的な役割を果たすタブレット」の導入を検討し始めた。

POCO Padを選んだ理由

タブレット選定の際、複数の候補を比較した。

iPad(無印):信頼性とアプリの質は高いが、価格が高い(4~5万円)。既にiPad を持っているため、わざわざもう1台買う必要があるか疑問だった。

Samsung Galaxy Tab S9:高性能だが、やはり価格が高く(5万円以上)、コスパという観点では微妙。

ALLDOCUBE iPlay 40:10インチクラスで価格も手頃だが、スペックがやや低め。

Xiaomi POCO Pad:11インチの大画面、Snapdragon 7 Gen 1 という十分な性能、3~4万円という価格帯。コスパ重視の選択肢としては最有力候補だった。

POCO Padを選んだ決定的な理由は、「大画面・高性能・低価格」という3つの要素のバランスだ。

11インチの画面サイズは、ドキュメント閲覧やブラウザ操作に十分な情報量を確保できる。Snapdragon 7 Gen 1 は、ブラウザの多タブ運用やSlack の複数ワークスペース同時接続でも安定して動作する。そして、3万円台という価格は、「サブディスプレイ的な役割」であれば十分なコストバランスだと判断した。

POCO Padの実際の使われ方

POCO Padを導入して数ヶ月経過した今、実際の使われ方は初期の想定とやや異なっている。

当初の想定:MacBook Air のサブディスプレイ、ドキュメント閲覧専用

実際の使われ方

  • 自宅でのエンタメ機:動画垂れ流し(YouTube、Netflix、アニメ配信サービス)
  • ベッドサイドでのブラウジング:寝る前のニュースチェック、SNS閲覧
  • たまにのコード閲覧:GitHub のプルリクエスト確認、ブラウザベースのIDE(GitHub Codespaces)の軽い操作

つまり、「開発のサブディスプレイ」というより、「エンタメ・情報取得の専用機」に落ち着いている。

この用途転換は、実は「失敗」ではなく、むしろ「最適な役割分担の発見」だと考えている。MacBook Air で開発に集中し、POCO Pad はリラックス時間のデバイスという使い分けが、結果的に生産性と快適さの両方を実現している。

iPlay 70 mini Ultra への欲望:なぜ「もう1台」が欲しくなるのか

物欲の正体:「用途の最適化欲求」

POCO Pad を導入して満足していたはずなのに、数ヶ月後に新しいタブレットが欲しくなり始めた。それが Alldocube iPlay 70 mini Ultra だ。

このタイミングで物欲が発生した理由を、正直に分析してみる。

用途の最適化欲求:iPad・POCO Pad・iPlay 70 mini Ultraのように、スペックや画面サイズ・重量が少しずつ違うと、「この作業にはこのサイズ・このOSがベスト」という理由付けがしやすくなる。

例えば:

  • 「大画面で動画を見るなら POCO Pad」
  • 「手書きメモなら iPad」
  • 「片手で持ちながら使うなら iPlay 70 mini Ultra」

こうした「最適化」の論理は、一見すると合理的に聞こえる。しかし、実際には「複数デバイスを正当化したい心理」が働いている可能性が高い。

ベンチマークとスペックの魔力:AnTuTuスコアやSoC(Snapdragon 7系など)の数値を見て、「今のPOCO Padでも足りているのに、上のクラスを体験してみたい」という欲求が生まれる。

スペック表を眺めていると、iPlay 70 mini Ultra の「Snapdragon 7+ Gen 3」「8~12GB RAM」「144Hz ディスプレイ」といった数字が目に飛び込んでくる。そして、「これなら現在のPOCO Padより快適かも」という思い込みが生まれる。

しかし、POCO Padで実際に不満を感じているのか?と問い直すと、答えは「特に不満はない」だ。

環境刷新によるモチベーションアップの期待:新しいタブレットを導入すれば、勉強習慣や開発効率が上がるはずだ、という「環境投資」としての正当化が働く。

これは、新しいノートを買うと「今度こそ毎日日記をつけよう」と思う心理と同じだ。新しいデバイスを手にすると、一時的にモチベーションが上がり、使用頻度が増えることは確かだ。しかし、その効果は数週間で薄れ、結局は従来の使い方に戻ることが多い。

物欲セルフレビュー:本当に必要か?

ここで、物欲に流される前に、自分自身に問い直すプロセスが重要だ。

「今の3台でできないこと」が本当にあるか

iPad では SSH・Docker・ローカルLLM が重い。MacBook が母艦化しているので、POCO Pad をサブの開発端末にしたい、という理由は、実は「iPad で十分」という事実の前では説得力を失う。

むしろ、「通勤時に片手で持ちながら、GitHub のコードを眺めたい」「ベッドサイドでターミナルコマンドを実行したい」といった「より細かい用途」の最適化を求めているだけなのではないか。

「不満」が性能由来か、運用や習慣の問題か

POCO Pad でブラウザが遅いと感じるのは、本当にSoC不足か。それとも、アプリのバックグラウンド実行やタブの多開きによる問題か。

実は、ブラウザのタブを10個以上開いたまま放置する習慣を改めるだけで、体感速度は大きく改善する可能性が高い。新しいタブレットを買うのではなく、「使い方を最適化する」方が、コスト的にも効率的にも優れている。

「時間」と「お金」で見たときのリターン

iPlay 70 mini Ultra の価格は、日本円換算で4~5万円前後だ。

価格 ÷(想定利用時間)で「1時間あたりのコスト」を出してみる。仮に5万円で、毎日2時間使用すると想定した場合、年間730時間の使用で、1時間あたりのコストは約68円になる。

これは、実際にはそれなりに安いコストだ。しかし、「本当にそれだけ使うのか」という問いに、正直に答えられるか。

実際には、購入直後は毎日2時間使うかもしれないが、1ヶ月経つと1時間に、3ヶ月経つと週に数時間に落ち着く可能性が高い。そうなると、1時間あたりのコストは大きく跳ね上がる。

最終的な判断:「今は買わない」という決定

これらの分析を通じて、現時点で iPlay 70 mini Ultra を購入するのは「物欲に流された判断」だと結論づけた。

理由は以下の通りだ:

  1. iPad・POCO Pad・MacBook Air M1 の役割分担が既に最適化されている

  2. iPlay 70 mini Ultra で「新しくできること」が、実は「iPad やPOCO Pad で既にできること」の延長線上にある

  3. 購入コスト(5万円)と、実際の利用時間の増加分を考えると、コストパフォーマンスが微妙

  4. 6ヶ月後に同じ欲望が出てきたら、その時点で改めて検討する」という「先延ばし戦略」の方が、衝動買いを防げる

ただし、「絶対に買わない」と決めたわけではない。もし以下のシナリオが発生したら、購入を改めて検討する。

  • MacBook Air M1 が故障して修理に出すことになり、代替機が必要になった場合
  • 仕事の内容が変わり、外出先でのコード実行やターミナル操作が頻繁になった場合
  • POCO Pad が故障して、新しいタブレットが必要になった場合

つまり、「今の環境の不満を解決するため」ではなく、「環境の変化に対応するため」という、より強い理由が出てくるまで、購入は見送る。

タブレット3台持ちの運用コストと利便性の検証

複数のデバイスを持つことで、新しい可能性が広がる一方で、見えない運用コストが増加することも事実だ。

複数デバイス管理の「見えないコスト」

タブレット3台持ちで増える負担は、主に以下のような「目に見えにくい」作業だ。

OS・アプリ更新の追跡:iPadOS / macOS / Android それぞれでOSアップデートとアプリ更新を追いかける必要がある。月数回ペースで小さい作業が積み重なり、年間では数十時間の時間を消費する。

開発用にライブラリやSDKを入れている場合、環境差異に起因する不具合調査にも時間を取られる。例えば、MacBook Air M1 で動作確認したコードが、Android タブレットで同じように動作するか確認する必要がある。

セキュリティとアカウント管理:パスワードマネージャーや2FAアプリを全端末で揃えないと、どれに入っていてどれにないかが混乱する。

紛失時にリモートワイプできるよう、Apple ID・Google アカウント側の端末管理も定期的な見直しが必要になる。複数のデバイスが増えるほど、セキュリティリスクも増加する。

持ち運びと「どれを持っていくか」の意思決定:自宅・職場・カフェ・出張など、シーンごとに持ち出す組み合わせを毎回判断するのは、それ自体が認知コストになる。

朝、カバンに何を入れるか、毎回数秒~数十秒の判断時間が発生する。年間では相当な時間が積み重なる。

結果として「結局メイン2台しか使っていない」状況になりやすく、3台目はバッテリーもアプリも古いまま放置されがちだ。

バッテリー管理と運用のコツ

3台をすべて「常に満充電&即戦力」に保とうとすると、充電とバッテリー劣化対策だけでかなりの手間になる。

役割ごとに「常備端末」と「待機端末」を分ける

常時持ち歩くのは MacBook Air M1+1台(iPad か Android)に絞り、3台目は自宅据え置き用途に固定する。

POCO Pad は自宅専用、iPlay 70 mini Ultra は「持ち運ぶかもしれない」という位置づけにすることで、バッテリー管理がシンプルになる。

待機端末はバッテリー40~60%程度を目安に、1~2週間に一度充電確認する運用にすると、劣化も抑えられる。

充電環境の共通化

USB-C対応のMacBook Air M1+iPad+Androidタブレット構成なら、65W~100Wクラスのマルチポート充電器を1つ用意し、ケーブルもUSB-Cで統一する。

デスク・ベッドサイド・持ち運び用バッグの「3カ所」にケーブルを固定しておくと、「充電のためにケーブルを探す」時間を削減できる。

実際に私の環境では、USB-C PD対応の100W充電器を1つ用意し、MacBook Air M1、POCO Pad、iPlay 70 mini Ultra(購入する場合)、iPhone をすべてUSB-Cで充電できるようにしている。これにより、「どのケーブルを使うのか」という判断が不要になった。

バッテリー劣化との付き合い方

Androidタブレット(特にPOCO Padクラスのコスパ機)は、数年スパンで「使い倒して買い替える」前提の方が気が楽だ。

iPad/MacBook Air M1 は高価なので、夜の枕元充電を避け、仕事中の短時間充電で80%前後を維持する運用がバランス良い。

リチウムイオンバッテリーは、充放電の回数や、充電状態の保持時間で劣化が加速する。特に100%充電のまま放置するのは避けるべきだ。

クラウド連携とデータ設計

3台構成で最も重要なのは「どの端末から触っても、同じデータにたどり着ける」ことだ。ここが曖昧だと、端末を増やすほど情報が分散していく。

「クラウドを中心」に据え、端末はすべて単なるビューアと割り切る

ノート・タスク:Notion / Obsidian Sync / Evernote / OneNote など、マルチプラットフォーム前提のサービスを採用。

ドキュメント・コード:GitHub / GitLab / Dropbox / Google Drive / iCloud Drive を用途で分け、ローカル保存は一時ファイルに限定。

私の環境では、開発に関するメモは Notion で一元管理し、コードは GitHub で管理、個人的な思考整理は Obsidian(ローカルストレージ)で行っている。これにより、どのデバイスからでも必要な情報にアクセスできる。

プラットフォームロックインを避ける

手書きノートをAppleメモだけに閉じると、Androidタブレットから参照しづらくなる。

PDF出力+クラウド共有、あるいはNotion/OneNoteのようなクロスプラットフォームなメモアプリを併用すると、どの端末からでもアクセスしやすくなる。

特に、iPad での手書きメモを、後でMacBook Air で編集・整理したい場合、PDF化して Dropbox に保存する運用がシンプルだ。

通知とチャットの整理

Slack / Teams / Discord / メールは全端末に入れると通知がカオスになるため、「返信する端末」を1~2台に限定する。

残りの端末は通知をオフにし、「閲覧専用」「検証専用」と割り切ると精神的なノイズが大きく減る。

例えば、MacBook Air M1 で Slack の通知を有効にし、POCO Pad では通知をオフにして「見たい時に見る」という運用にすることで、集中力が大きく向上する。

実際の運用ルール

タブレット3台構成を運用する上で、私が実践している具体的なルールは以下の通りだ。

デバイスごとの役割明確化

デバイス主な用途携帯頻度バッテリー管理
MacBook Air M1開発・執筆・重いマルチタスク毎日80%キープ
iPad手書きメモ・PDF閲覧・会議週3~4回50%キープ
POCO Pad動画・ブラウジング・エンタメほぼ毎日(自宅)常時接続

持ち運び優先度のランク付け

  1. 絶対持っていく:MacBook Air M1、iPhone
  2. 余裕があれば持っていく:iPad
  3. 基本は自宅待機:POCO Pad

このランク付けにより、毎朝の「何を持ち出すか」という判断が自動化され、認知コストが削減される。

週間レビュー

毎週日曜の夜に、各デバイスのバッテリー状態、アプリ更新の有無、セキュリティアラートの確認を行う。15分程度の作業で、複数デバイス管理の「見えないコスト」を最小化できる。

POCO Pad vs iPlay 70 mini Ultra:スペック比較と役割分担

スペック比較表

実際に両機種を比較検討する際に参考になるよう、主要なスペックを整理した。

項目POCO PadiPlay 70 mini Ultra
画面サイズ11.0 インチ8.8 インチ
ディスプレイ種類IPS LCDIPS LCD
解像度2560×1600(2.5K)2560×1600(2.5K)
リフレッシュレート90Hz144Hz
SoCSnapdragon 7 Gen 1Snapdragon 7+ Gen 3
RAM8GB8~12GB
ストレージ256GB128~256GB
拡張ストレージmicroSD 対応microSD 対応
バッテリー容量約 10,100mAh約 5,000~7,000mAh
充電33W 急速充電18~33W
重量約 555g約 350~450g
OSHyperOS(Android ベース)Android
スピーカー4 スピーカー2~4 スピーカー
価格帯3~4万円4~5万円

※スペックは公式情報やレビューサイトの一般的な情報に基づいています。購入前に最新の公式スペックを確認してください。

役割分担の考え方

両機種は「対極的な位置づけ」だ。

POCO Pad:大画面・大容量バッテリー・据え置き向け

自宅でのドキュメント閲覧、動画視聴、ブラウザ多タブ運用に向いている。11インチの画面は、情報表示量が多く、目の疲れも少ない。約10,100mAhのバッテリーは、充電なしで丸1日使用できる容量だ。

重量が555g程度あるため、常時携帯には向かないが、自宅のベッドサイドやソファに置いて使う用途には最適だ。

iPlay 70 mini Ultra:小型・高性能・携帯向け

8.8インチのコンパクトサイズは、片手で持ちながら操作できる。350~450gの軽さは、毎日のバッグ持ち運びでもストレスが少ない。

Snapdragon 7+ Gen 3 という高性能なSoCと、144Hzディスプレイにより、ゲームや動画視聴でも快適な体験が得られる。

バッテリー容量は5,000~7,000mAh程度と小さめだが、高効率な設計により、4~6時間の実作業は十分こなせる。

「3台持ち」構成での位置づけ

MacBook Air M1 を中心とした3台構成では、両機種の役割は以下のように分かれる。

MacBook Air M1(中心軸)

  • 開発・ビルド・長文執筆・重いマルチタスク
  • 外出先での本格的な作業環境

iPad(創造性・手書き)

  • 手書きメモ・スケッチ・PDF注釈
  • 会議用サブディスプレイ(Sidecar)
  • デザイン確認・プロトタイプレビュー

POCO Pad(大画面・据え置き)

  • 自宅でのドキュメント閲覧
  • 動画・エンタメ
  • ブラウザ多タブ運用
  • 情報取得の専用機

iPlay 70 mini Ultra(携帯・軽量)

  • 通勤・移動時の軽量端末
  • メモ・チャット・通知確認
  • ゲーム・動画視聴
  • ベッドサイドでの読書

このように役割を分けることで、各デバイスが「冗長性」ではなく「補完性」を持つようになる。

「どちらか1台を選ぶなら」という判断基準

もし、POCO Pad と iPlay 70 mini Ultra のどちらか1台だけを選ぶとしたら、以下の判断基準が有効だ。

POCO Pad を選ぶべき場合

  • 自宅での使用が中心
  • 大画面で快適に作業したい
  • バッテリー駆動時間を重視
  • 価格を重視(3~4万円)

iPlay 70 mini Ultra を選ぶべき場合

  • 外出先での携帯性を重視
  • 高性能なゲーム・動画体験を求める
  • 片手操作できるサイズが必要
  • 高リフレッシュレートの滑らかさを体験したい

実際のところ、「どちらが優れているか」という判断ではなく、「自分のライフスタイルにどちらが合うか」という視点が重要だ。

最適な構成にたどり着くまでのプロセス

試行錯誤の歴史

7年という時間をかけて、現在の構成(MacBook Air M1+iPad+POCO Pad)にたどり着いた。その過程で、多くの試行錯誤があった。

Phase 1(7年前):レッツノート LV7 単体

  • 当時は「1台で完結させる」という思想が強かった
  • 軽さと堅牢性を重視
  • 限界:メモリ不足、バッテリー劣化

Phase 2(3年前):レッツノート LV7+iPad

  • iPad でペン入力とノート機能を追加
  • MacBook への依存度を下げたかった
  • 限界:iPad だけでは開発作業が難しい

Phase 3(1年前):MacBook Air M1 導入

  • レッツノート LV7 を引退
  • 開発環境が大きく改善
  • 次のステップ:タブレットの活用方法を模索

Phase 4(現在):MacBook Air M1+iPad+POCO Pad

  • 役割分担が明確化
  • 各デバイスが「補完性」を持つ構成
  • 安定性:この構成で半年以上、大きな不満がない

各フェーズでの判断ポイント

Phase 1 → Phase 2 への移行

判断ポイント:「ノート取り・ドキュメント閲覧の効率化」

レッツノート LV7 でPDF を読んだり、会議でメモを取ったりするのは、タッチペンがないため効率が悪かった。iPad のペン入力は、この問題を解決した。

Phase 2 → Phase 3 への移行

判断ポイント:「開発環境の性能不足」

レッツノート LV7 のメモリ・バッテリーの限界が明らかになり、MacBook Air M1 への買い替えを決断した。

Phase 3 → Phase 4 への移行

判断ポイント:「タブレットの役割再定義」

MacBook Air M1 で開発に集中できるようになったため、タブレットは「開発の補助」ではなく「情報取得・エンタメ」に特化させることで、役割分担が明確になった。

今後の展開

現在の構成(MacBook Air M1+iPad+POCO Pad)は、おそらく今後1~2年は維持されると予想している。

ただし、以下のシナリオが発生したら、構成の見直しを検討する可能性がある。

MacBook Air M1 の限界が見え始めた場合

  • メモリ16GB では足りなくなった
  • M2/M3 への買い替えを検討

開発の内容が大きく変わった場合

  • GPU 集約的なタスク(機械学習・3D描画)が増えた
  • MacBook Pro への乗り換えを検討

外出先での作業が増えた場合

  • iPlay 70 mini Ultra の導入を改めて検討
  • 「常時携帯可能な開発端末」の必要性が高まる

エンジニア視点での最終的な提言

複数デバイス構成の「正解」は存在しない

この記事を通じて強調したいのは、「複数デバイス構成に正解は存在しない」ということだ。

職種、業務内容、ライフスタイル、予算、好みによって、最適な構成は大きく異なる。

フロントエンド開発中心なら:MacBook+iPad で十分かもしれない。タブレットは不要。

バックエンド・インフラ中心なら:MacBook+高性能デスクトップ という構成の方が効率的かもしれない。

モバイルアプリ開発なら:MacBook+複数のAndroidタブレット(検証用)という構成が必要かもしれない。

物欲との付き合い方

物欲は、完全に排除すべきものではなく、「適切に管理すべきもの」だと考える。

新しいデバイスが欲しくなったら、以下の問いを自分に投げかけてみてほしい。

  1. 「今のデバイスでできないことが、本当にあるか?」

    • 不満を具体的に言語化できるか
    • その不満は性能由来か、運用由来か
  2. 「新しいデバイスで、その不満は本当に解決するか?」

    • スペック表の改善が、実際の体験にどう反映されるのか
    • 別のアプローチ(ソフトウェア、設定、習慣の改善)では解決できないか
  3. 「コスト対効果は見合っているか?」

    • 購入価格と、実際の利用時間から「1時間あたりのコスト」を計算
    • その金額を払ってでも体験したいか
  4. 「環境が本当に変わるか、それとも一時的なモチベーションアップか?」

    • 過去に同じような買い物をして、実際に環境が変わったか
    • 購入から3ヶ月後、本当に使っているか

これらの問いに正直に答えることで、衝動買いを防ぎながら、本当に必要な買い物を見極めることができる。

最後に

複数のデバイスを持つことは、確かに便利だ。しかし、それは「デバイスの数」によってではなく、「各デバイスの役割が明確であり、相互に補完し合っているか」によって初めて実現される。

POCO Pad への欲望、iPlay 70 mini Ultra への物欲。これらは、決して悪いものではない。むしろ、「自分の環境をより良くしたい」という前向きな欲求の表れだ。

ただ、その欲求に流される前に、立ち止まって「本当に必要か」を問い直すプロセス。それが、エンジニアとしての「冷徹な判断力」と、ガジェット好きとしての「ワクワクした気持ち」の両方を大切にする方法なのだと、この7年の経験から学んだ。

現在の構成(MacBook Air M1+iPad+POCO Pad)で、開発効率も、生活の快適さも、十分に実現できている。もし6ヶ月後、1年後に環境が大きく変わり、iPlay 70 mini Ultra が本当に必要になったら、その時点で改めて検討する。

それまでは、現在の構成を最大限に活用し、複数デバイス管理のコツを磨き続けることが、最も合理的で、最も幸福な選択肢だと確信している。

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