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Xiaomi 17シリーズの背面ディスプレイは、特定のユースケース(高画質自撮り、Vlog撮影、通知確認)では確かに有用です。しかし「本当に役立つか」という問いに対しては、ユーザーの使用パターンと優先順位次第という答えが最も正確です。カメラ愛好家やコンテンツクリエイターには実質的なメリットがありますが、一般ユーザーの多くは購入後数週間で活用頻度が低下する傾向が見られています。今後のソフトウェアアップデートとエコシステムの充実が、この機能の真の価値を決定することになるでしょう。
Xiaomiが2025年9月に中国市場で発表した「Xiaomi 17シリーズ」は、同社のフラッグシップラインの最新世代です。このシリーズで最も注目を集めているのが、Xiaomi 17 ProおよびPro Maxに搭載された背面ディスプレイという革新的な機能です。
背面ディスプレイは、カメラモジュールの横に配置された2.9インチの小型ディスプレイで、メイン画面を点灯させずに通知確認やウィジェット表示、さらには自撮りプレビューまで実現できます。これは、スマートフォンのデザイン進化における新しい試みであり、業界全体が注目する機能となっています。
一方、同シリーズの最上位モデルであるXiaomi 17 Ultraは、背面ディスプレイを搭載しておらず、代わりにカメラ性能と熱管理を優先する設計になっています。このシリーズ内での差別化戦略そのものが、背面ディスプレイの位置付けを象徴しているのです。
Xiaomi 17 Pro Maxに搭載される背面ディスプレイは2.9インチのサイズで、カメラバンプの横に横長のパネルとして配置されています。Xiaomi 17 Proには同じコンセプトですがやや小型のバージョンが搭載されると報じられています。
このサイズ設定は、単なる「飾り」ではなく、実用的な情報表示と操作性のバランスを取った設計だと言えます。スマートウォッチのディスプレイより大きく、タブレットほどではない絶妙なサイズです。
公開情報では、背面ディスプレイの正確な解像度やリフレッシュレートについて、Xiaomi側から明確な数値が提示されていません。しかし、シリーズのハイエンド性質とメインディスプレイが6.9インチの有機ELである点を考慮すると、背面も小型有機ELパネルである可能性が高いと考えられます。
技術的には、2.9インチの有機ELであれば800×368ピクセル前後の解像度が妥当なレンジと考えられ、これにより200〜300ppi程度の画素密度が実現される構成が推測されます。リフレッシュレートについては、省電力性を重視した設計から60Hz運用の可能性が高いと言えるでしょう。
Xiaomi 17 Pro Maxは7500mAhの大容量バッテリーを搭載しており、これはシリーズ内で最大容量です。背面ディスプレイという追加の電力消費源を抱えながらも、この大容量バッテリーによって長時間運用が可能になっています。
興味深いことに、同シリーズの最上位モデルであるXiaomi 17 Ultraは背面ディスプレイを搭載しない設計になっており、その理由としてカメラ性能、熱管理、省電力性を優先した設計であることが報じられています。これは、背面ディスプレイがスペース、電力、放熱の観点でコストを伴うギミックであることを示唆しています。
背面ディスプレイの最大の利点は、メインカメラを使った高画質自撮りが可能になることです。通常のスマートフォンではフロントカメラで自撮りしますが、フロントカメラはメインカメラと比較して画素数、センサーサイズ、レンズの選択肢が限定的です。
Xiaomi 17 Pro Maxの背面には複数のカメラが配置されており、これらの高性能センサーを背面ディスプレイをプレビューとして活用することで、自撮りの画質が飛躍的に向上します。特にVlog撮影やライブ配信を行うコンテンツクリエイターにとって、このメリットは実質的です。
背面ディスプレイを使えば、本体を裏返しにしたまま自分の表情やフレーミングをリアルタイムで確認できるため、より自由な構図設定が可能になります。
メイン画面を点灯させずに、背面ディスプレイで通知やウィジェット情報を表示できます。これは以下のシーンで有用です:
ただし、実際のユーザーレビューでは「電池持ちが劇的に改善するわけではない」という報告も多く、この点は期待値と実際のメリットに乖離がある可能性があります。
背面ディスプレイでは、以下のようなウィジェットが表示・操作可能です:
これらのウィジェットは、メイン画面を起動する手間を省き、クイックアクセスを実現しています。
撮影直後の写真を背面ディスプレイで拡大表示・確認することが可能です。これは撮影直後の品質チェックに有用で、特に複数カット撮影する際に、いちいちメイン画面を起動せずに確認できるという利便性があります。
最も個性的な用途として、専用ケース装着時にレトロゲーム機(Game Boy風)のデザインに変身するという活用法があります。背面ディスプレイをゲーム画面として、物理的なボタンと組み合わせることで、懐かしいゲーム体験が実現されます。
このユニークな使用例は、背面ディスプレイが単なる「補助画面」ではなく、エンタメ要素を持つギミックとして設計されていることを示しています。
実際のユーザーレビューやメディアの報道から、背面ディスプレイに対する肯定的な評価を整理すると、以下のポイントが挙げられます。
高画質セルフィー・Vlog撮影の実現
カメラ愛好家やコンテンツクリエイターから最も高い評価を受けているのが、この点です。メインカメラの高画素センサーと複数のレンズオプション(標準、広角、望遠)を自撮りに活用できるため、フロントカメラ機種と比較して圧倒的に画質とレンズ自由度が向上します。
特にVlogやライブ配信の品質向上に直結するため、このユーザー層にとっては実質的な価値があります。
通知確認のしやすさ
机上で伏せたままでも通知種別やメッセージ内容を確認できる点を便利とするユーザーが存在します。スマートウォッチでも同様の機能は実現できますが、背面ディスプレイはより大きな画面で詳細な情報を表示できるため、一部のユーザーには優位性があります。
カメラ撮影時の自由度向上
ローアングルやハイアングル撮影の際に、本体を裏返しにしても構図が見えるという点は、カメラ重視ユーザーから好意的に評価されています。これにより、撮影の創造性が拡がる可能性があります。
デザイン面でのユニークさ
背面ディスプレイ搭載という「話題性」と「個性」を評価するガジェット愛好家も存在します。iPhone 17 Proの大型カメラバンプとの比較文脈でも語られており、設計の意欲性を評価する声があります。
将来的な機能拡張への期待
現状は用途が限定的ですが、ソフトウェアアップデートによる以下の機能拡張を期待するユーザーが多くいます:
一方で、実ユーザーやレビュアーから指摘されている課題も多くあります。
「最初は面白いが、だんだん使わなくなる」という傾向
これが最も多く報告されている課題です。購入直後は背面ディスプレイの新しさに興味を持って活用するものの、数週間経過すると通知確認か自撮り以外ほとんど利用しなくなるというパターンが報告されています。
理由としては、通常の通知確認やメディア操作はメイン画面やスマートウォッチで事足りるため、「常用するほどの必然性が薄い」という評価になるケースが多いのです。
重量と厚みの増加
Pro Maxは7500mAhの大容量バッテリーと2.9インチ背面ディスプレイの搭載により、本体の重量と厚みが増加しています。長時間の片手持ちやポケット携帯の快適性が低下するため、この点を懸念するユーザーも多くいます。
「サブ画面のためにこれだけ重くなる価値があるのか」という疑問は、実用性評価の中核をなしています。
バッテリー消費への実感的な影響
メーカーは省電力性をアピールしていますが、実測レビューでは「メイン画面を点けっぱなしにするよりはマシだが、背面ディスプレイを通知で頻繁に光らせると電池はそれなりに減る」という傾向が報告されています。
理論的な省電力性と実際の体感的な電池持ち改善には乖離があるという指摘が多いのです。
機能カスタマイズの制約
初期ファームウェアでは、対応する通知内容の種類、表示できるウィジェットの種類、他社アプリとの連携がまだ限定的です。ユーザー側での自由なカスタマイズ性が高くないため、「時計・通知・カメラプレビュー程度では”サブディスプレイならでは”の価値が弱い」という評価につながっています。
保護ケース・フィルムとの相性問題
背面にディスプレイがあるため、市販ケースの互換性や落下時の割れリスクについて懸念を示すユーザーが多くいます。一部ユーザーは「純正ケース以外の選択肢が限られる」「背面画面を守りつつカメラ段差も保護するケースの設計が難しい」と言及しています。
これは背面サブディスプレイ端末全般で共通して指摘される既知の問題です。
価格への影響
背面ディスプレイ付きのPro/Pro Maxは、同世代の通常版Xiaomi 17や他社フラッグシップと比較して価格が高くなりがちです。ユーザーの中には「サブ画面に対して余分に支払っている感」を感じる人も多くいます。
背面ディスプレイの実用性は、使用シーンによって大きく異なります。以下の表は、具体的な使用場面における実用性評価をまとめたものです。
| ユースケース | 実用性評価 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 高画質セルフィー・Vlog撮影 | ⭐⭐⭐⭐⭐(非常に高い) | メインカメラの高画質センサーとレンズを活用でき、フロントカメラ機種と比較して圧倒的に優位。コンテンツクリエイターには実質的な価値あり。 |
| 通知確認 | ⭐⭐⭐(中程度) | 便利だが、スマートウォッチや常時表示ディスプレイでも代替可能。優位性は限定的。 |
| 省電力運用(メイン画面オフ) | ⭐⭐(低い) | 理論的には省電力だが、実測では体感的な電池持ち改善に至らないという報告が多い。 |
| カメラ撮影時のプレビュー(特殊角度) | ⭐⭐⭐⭐(高い) | ローアングル・ハイアングルなどで構図確認がしやすく、カメラ愛好家には好意的。 |
| 日常操作(SNS・メッセージ返信など) | ⭐(非常に低い) | 画面サイズとUI制約により、メールやSNSを背面だけで完結させる運用は現実的でない。 |
| ウィジェット・情報表示 | ⭐⭐⭐(中程度) | 天気・時計・音楽コントロール程度は便利だが、「常用するほど」という水準には至らない傾向。 |
背面ディスプレイを搭載した他の機種と比較することで、Xiaomi 17シリーズの背面ディスプレイの位置付けがより明確になります。
Xiaomi 17シリーズの前身となる、Xiaomi 11 Ultraも背面ミニディスプレイを搭載していました。11 Ultraの背面ディスプレイは、17シリーズより小型でしたが、同じく通知表示とカメラプレビュー用途で設計されていました。
17シリーズでは、このコンセプトを大型化(2.9インチ)し、より実用的なサイズに進化させています。つまり、Xiaomiは背面ディスプレイを「実験的機能」から「シリーズの定番機能」へと進化させる方向性を示しているわけです。
ゲーミングスマートフォンで知られるnubia Red Magicシリーズは、背面にRGBライトと補助画面を搭載しています。しかし、その用途はゲーム中の通知表示や冷却状態のモニタリングに特化しており、Xiaomiのような汎用的な用途とは異なります。
Red Magicの背面画面はゲーミング特化で、日常ウィジェット機能は限定的です。一方、Xiaomi 17シリーズは日常的な通知確認やウィジェット表示を優先した設計になっており、汎用性の観点ではXiaomiが優位だと言えます。
Samsung Galaxy Z Flipシリーズは、背面に補助ディスプレイを搭載していますが、これは折りたたみ機構の関係上、サイズと機能が限定的です。
Appleは従来、Dynamic Islandで補助情報表示を実現していますが、これは物理的なディスプレイではなく、ノッチ領域を活用した設計です。
つまり、「背面に独立した物理ディスプレイを搭載する」という設計は、中国メーカーの差別化戦略の一環であり、グローバルメーカーでは採用例が限定的です。
背面にもディスプレイがあるため、物理的な破損リスクが増加します。特に以下の点が課題です:
落下・圧力リスク
背面からの落下や圧迫による損傷リスクは、通常のガラス背面より高くなります。ケース選択が重要になり、保護ケースなしでの使用は推奨されません。
焼き付きリスク
小型有機ELパネルは、長時間同じ画像を表示し続けると焼き付き(イメージリテンション)が発生する可能性があります。時計や通知アイコンなど「固定表示」が多い設計であるため、UI側でドットシフトや輝度自動調整などの焼き付き対策が取られている可能性が高いです。
背面ディスプレイの搭載により、内部スペースが制約されます。これが以下のトレードオフを生み出しています:
カメラ設計への影響
Xiaomi 17 Ultraが背面ディスプレイを搭載しない理由として、カメラハードウェアへのスペース優先配分が報じられています。つまり、背面ディスプレイを採用すると、カメラの進化の余地が減少するということです。
熱管理への影響
複数の高発熱コンポーネント(SoC、カメラ、背面ディスプレイ)が背面に集中するため、冷却設計が複雑になります。内部スペースが限定されると、放熱経路の最適化が困難になるリスクがあります。
現時点で、Xiaomi 17シリーズは中国市場向けのリリースが中心です。グローバル展開時には以下の課題が想定されます:
技適認証
日本を含む各国で使用するには、その国の電波法に基づいた技適認証が必要です。複数のディスプレイを持つ端末の認証には、追加の検証が必要になる可能性があります。
ローカライズ対応
各国のOSカスタマイズ(日本版のFeliCa対応など)に際して、背面ディスプレイ機能の実装が複雑になる可能性があります。
高付加価値ディスプレイを搭載したスマートフォン市場は、今後の成長が予測されています。特に折りたたみスマホ市場では、2025〜2026年にかけて出荷が2,000万台規模から約2,600万台規模へと拡大し、2026年に前年比約30%成長すると予測されています。
この「多画面化」トレンドは、折りたたみだけでなく、背面ディスプレイなど形状のバリエーションとして現れる可能性があります。
現在のところ、背面ディスプレイの活用はメーカー純正機能に依存しています。しかし、以下の展開余地が指摘されています:
OS側のAPI整備
HyperOSやMIUI側で、背面ディスプレイ向けの標準APIが整備されれば、サードパーティアプリが対応する可能性が生まれます。
想定される拡張用途
ただし、現時点のレビューでは「ソフトウェア側の活用が追いついていない」という評価が主流です。
過去のデュアルディスプレイ端末(Meizu 7 Pro、nubia Z20など)は、「差別化ギミック」としての側面が強く、長期シリーズ化せずに終わった例が多くあります。理由としては:
これらの過去事例は、背面ディスプレイが「継続される機能」になるためには、ソフトウェア面での汎用化が不可欠であることを示唆しています。
スマートフォン部材コストとASP(平均販売価格)は今後も上昇傾向にあり、背面ディスプレイはプレミアム帯での差別化機能として位置付けられるようになるでしょう。
ただし、「多画面=折りたたみ」が主流トレンドになる可能性が高く、背面ディスプレイは補助的な差別化要素として、ニッチな位置付けに留まる可能性が高いと分析されています。
YouTubeやTikTokでVlogを制作するクリエイターにとって、背面ディスプレイは実質的なツールになります。
高画質なメインカメラセンサーを自撮りに活用でき、背面ディスプレイでリアルタイムプレビューを確認しながら、複数のレンズオプション(標準、広角、望遠)を使い分けることができます。これにより、フロントカメラ機種では実現できない画質とレンズ自由度が得られます。
写真撮影を趣味とするユーザーにとって、背面ディスプレイはローアングル・ハイアングル撮影の際の構図確認ツールになります。本体を裏返しにしたまま構図が見えるため、創意工夫した撮影が容易になります。
デスクワークが多いユーザーにとって、スマートフォンを伏せた状態で通知を確認できるのは、作業の中断を最小化できるメリットがあります。会議中や集中力が必要な場面での使用に適しています。
専用ケース装着で、背面ディスプレイをゲーム画面として活用するという、ユニークな使用例があります。Game Boy風のデザインに変身し、懐かしいゲーム体験が実現されます。
Xiaomi 17シリーズは2025年9月に中国で発表されており、中国市場では既に販売が進行しています。ただし、日本語メディアで確定した価格情報は限定的です。
参考として、前世代の15 Proの中国価格は5,299元からとされており、17 Proはそれ以上の価格帯(5,000〜7,000元程度、約10.4万〜14.5万円という予想)になると予測されています。
グローバル版の正式発表・販売開始日はまだ報じられていません。過去のパターンから、中国発表から数ヶ月後にグローバル展開される傾向があり、2026年初頭以降の可能性が指摘されています。
正規国内販売の可能性
前世代の15 Ultraは日本発売されており(179,800円)、17 Ultraについても日本投入シナリオが語られています。しかし、17 Pro/Pro Maxの日本版発売については、現時点で未定とされています。
並行輸入・個人輸入の場合の注意点
正規販売が未定の場合、中国版やグローバル版を並行輸入する選択肢があります。ただし、以下の点に注意が必要です:
背面ディスプレイの実用性は、ユーザーの使用パターンと優先順位に大きく依存します。
高い実用性が期待できるユーザー層
実用性が限定的なユーザー層
現状の評価
背面ディスプレイは、特定のユースケースでは確かに有用ですが、「すべてのユーザーにとって必須の機能」とは言えません。ユーザーレビューが示す「最初は面白いが、だんだん使わなくなる」という傾向は、この機能の現状の位置付けを象徴しています。
将来への期待
ソフトウェアアップデートとサードパーティアプリ対応により、実用性が向上する可能性があります。OS側の標準API整備とアプリエコシステムの充実が、この機能の真の価値を決定することになるでしょう。
背面ディスプレイ搭載モデルの購入を検討している場合、以下のポイントを自問自答することが重要です:
自撮りやVlog撮影を頻繁に行うか?
重量増加や価格上昇を許容できるか?
新しい機能を試すことに興味があるか?
スマートウォッチやメイン画面で通知確認できるか?
Xiaomi 17シリーズの背面ディスプレイは、「本当に役立つか」という問いに対して、「特定の用途には確実に役立つが、すべてのユーザーにとって必須ではない」という答えが最も正確です。
カメラ重視ユーザーやコンテンツクリエイターには実質的なメリットがありますが、一般ユーザーの多くは購入後数週間で活用頻度が低下する傾向が見られています。
今後のソフトウェア進化とエコシステム充実が、この革新的なギミックを「一時的な流行」から「継続される標準機能」へと進化させるかどうかを決定することになるでしょう。現時点では、慎重な購入判断と、自分の使用パターンとの照合が必要です。
背面ディスプレイを含むXiaomi 17シリーズの進化を追う際には、以下の点に注目することが有効です:
これらの動向が、背面ディスプレイの最終的な評価を決定することになるでしょう。
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