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🎙️ 音声: ずんだもん / 春日部つむぎ(VOICEVOX)
2025年のWordPress環境構築は、LAMP/LEMPという伝統的なスタックの信頼性を保ちながら、MariaDBとRedisを組み合わせることで、パフォーマンスとスケーラビリティを同時に実現できます。本記事では、これらの技術を実装するための具体的な手順と注意点を詳しく解説します。
2025年時点でも、WordPressの構築環境として**LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)とLEMP(LでLinux、EでNginx代替、残りは同じ)**が主流です。
新しいテクノロジーが次々と登場する中でも、これらのスタックが選ばれ続けている理由は:
ただし、2025年版のLAMP/LEMPは、単なる基本的なスタックではなく、以下の進化を遂げています:
開発環境として**XAMPP(Apache+MySQL+PHP)**は今もなお一般的です。WordPress 6.9対応で使用する場合は、PHP互換性の確認が必須となります。
MariaDBはMySQLの創始者であるMonty Widenius氏によって開発されたMySQLのフォーク(派生版)です。MySQLがOracleに買収された後、オープンソースコミュニティの独立性を保つために開発が進められています。
MariaDBはMySQLとの高い互換性を持ち、WordPressプロジェクトで積極的に推奨・使用されています。既存のWordPressデータベースをMySQLからMariaDBに移行しても、ほぼ問題なく動作します。
MariaDBは独自の最適化が施されており、複雑なクエリ処理やインデックス戦略において、MySQLより高速に動作する傾向があります。
2025年時点でのMariaDB最新LTS版(11.8など)は、WordPress 6.9と完全に互換性があることが確認されています。
MySQLと同様にオープンソースで、ライセンス費用がかかりません。
wp-config.phpの設定例:
// MariaDBの接続設定(MySQLと同じ形式)
define('DB_NAME', 'wordpress_db');
define('DB_HOST', 'localhost:3306');
define('DB_USER', 'wp_user');
define('DB_PASSWORD', 'secure_password_here');
define('DB_CHARSET', 'utf8mb4');
define('DB_COLLATE', 'utf8mb4_unicode_ci');
特に注意すべき点は、utf8mb4を使用することで、絵文字やその他の多言語対応が可能になるということです。
Redisはインメモリデータストアで、WordPressの場合は主にWP_Object_Cache経由でオブジェクトキャッシュとして機能します。
キャッシュなし(従来の流れ):
ブラウザのリクエスト
→ WordPress
→ データベースクエリ実行
→ MySQL/MariaDB
→ 結果返却
Redisキャッシュあり(改善後):
ブラウザのリクエスト
→ WordPress
→ Redisに問い合わせ
→ キャッシュヒット時は即座に返却
→ キャッシュミス時のみデータベースクエリ
この仕組みにより、データベースへのクエリ数が大幅に削減され、同時接続を効率的に処理できるようになります。
Linux(Ubuntu/Debian)の場合:
sudo apt-get update
sudo apt-get install redis-server
sudo systemctl start redis-server
sudo systemctl enable redis-server
WordPressの管理画面から「プラグイン」→「新規追加」で「Redis Object Cache」を検索し、インストール・有効化します。
// Redisの接続設定
define('WP_REDIS_HOST', 'localhost');
define('WP_REDIS_PORT', 6379);
define('WP_REDIS_PASSWORD', ''); // パスワード設定がある場合
define('WP_REDIS_DB', 0);
define('WP_CACHE', true);
define('WP_CACHE_KEY_SALT', 'your_site_key');
redis-cli
> INFO stats
このコマンドでRedisの統計情報が表示され、hitsとmissesの値からキャッシュヒット率を確認できます。
Redisは単独でも効果的ですが、以下のキャッシュプラグインと組み合わせることで、さらなる高速化が実現できます:
| プラグイン | 特徴 |
|---|---|
| W3 Total Cache | ページキャッシュ、オブジェクトキャッシュ、ブラウザキャッシュを統合管理 |
| LiteSpeed Cache | LiteSpeedサーバー専用で、Redisとの連携が最適化されている |
| WP Rocket | 有料プラグインだが、設定が簡単で初心者向け |
プラグイン「Query Monitor」を使用することで、データベースクエリの削減状況を可視化できます。
期待できる改善値:
Apache(LAMP)と比較して、**Nginx(LEMP)**を選択する場合の利点:
LEMP環境での推奨設定例:
# /etc/nginx/sites-available/wordpress
server {
listen 80;
server_name example.com;
root /var/www/wordpress;
index index.php;
# キャッシュ設定
location ~* \.(jpg|jpeg|png|gif|ico|css|js)$ {
expires 1y;
add_header Cache-Control "public, immutable";
}
# PHP処理
location ~ \.php$ {
fastcgi_pass unix:/run/php/php8.2-fpm.sock;
fastcgi_param SCRIPT_FILENAME $document_root$fastcgi_script_name;
include fastcgi_params;
}
# WordPressパーマリンク対応
if (!-e $request_filename) {
rewrite ^(.+)$ /index.php?q=$1 last;
}
}
WordPress 6.9はPHP 8.0以上を推奨しています。PHP 8.xへのアップグレードにより:
2025年では、LAMP/LEMPをDocker化する手法も一般的になっています。
docker-compose.ymlの例:
version: '3.8'
services:
wordpress:
image: wordpress:latest
ports:
- "80:80"
environment:
WORDPRESS_DB_HOST: mariadb
WORDPRESS_DB_USER: wordpress
WORDPRESS_DB_PASSWORD: wordpress_password
WORDPRESS_DB_NAME: wordpress_db
volumes:
- wordpress_data:/var/www/html
depends_on:
- mariadb
- redis
mariadb:
image: mariadb:latest
environment:
MYSQL_ROOT_PASSWORD: root_password
MYSQL_DATABASE: wordpress_db
MYSQL_USER: wordpress
MYSQL_PASSWORD: wordpress_password
volumes:
- mariadb_data:/var/lib/mysql
redis:
image: redis:latest
ports:
- "6379:6379"
volumes:
wordpress_data:
mariadb_data:
このアプローチの利点:
完全な自前構築が難しい場合は、KinstaやWP Engineといったマネージドホスティングの利用を検討してください。
マネージドホスティングの利点:
定期的なアップデート
バックアップ戦略
セキュリティプラグイン
WordPress 6.9へのアップグレード時や、新しいプラグイン導入時は:
| 要素 | 推奨構成 | 理由 |
|---|---|---|
| OS | Linux(Ubuntu 22.04 LTS以上) | 安定性とセキュリティ |
| Webサーバー | Nginx(LEMP推奨)またはApache | パフォーマンスとスケーラビリティ |
| データベース | MariaDB 11.x LTS | MySQL互換で高速、費用効率 |
| キャッシング | Redis + W3 Total Cache | 劇的なパフォーマンス向上 |
| PHP | PHP 8.2以上 | 最新セキュリティと高速処理 |
| バックアップ | UpdraftPlus(自動化) | データ保護と復旧の迅速化 |
2025年のWordPress環境構築は、LAMP/LEMPという確立された基盤に、MariaDBとRedisという最新のテクノロジーを組み合わせることで、安定性、パフォーマンス、セキュリティの三つを同時に実現できます。
本記事で紹介した手順に従うことで、初心者でも本格的なWordPress環境を構築でき、エンタープライズレベルのパフォーマンスを実現することが可能です。環境構築後は、定期的なメンテナンスとセキュリティアップデートを忘れずに実施してください。
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