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富士通プライマジーTX1320 M5でProxmoxクラスタを構築!PXE自動化で最強の省スペースサーバーを実現

👤 いわぶち 📅 2025-12-24 ⭐ 4.5点 ⏱️ 18m
富士通プライマジーTX1320 M5でProxmoxクラスタを構築!PXE自動化で最強の省スペースサーバーを実現

ポッドキャスト

🎙️ 音声: ずんだもん / 春日部つむぎ(VOICEVOX)

📌 1分で分かる記事要約

  • 富士通PRIMERGY TX1320 M5は静音・省スペースで、Proxmoxクラスタのエントリーノードに最適な中古サーバー
  • Xeon E-2386G/32GB/SSD 480GB×3構成で約5万円程度は破格の安さで、新品同等構成の数分の一の価格
  • PXEブート + 自動インストールスクリプトを使えば、iRMCライセンス不要でリモート自動化が可能
  • iRMC標準機能で電源ON/OFF・ハードウェア監視ができるため、KVMライセンスなしでも十分運用できる
  • 既存クラスタへの参加は数ステップで完了し、複数台展開も容易に実現できる

📝 結論

富士通PRIMERGY TX1320 M5は、中古市場で見つかる場合、Proxmoxクラスタの追加ノードとして極めてコストパフォーマンスに優れた選択肢です。PXE自動化を活用すればライセンス費用をかけずに完全リモート運用が可能になり、小規模オフィスや自宅サーバー環境での拡張に最適です。


富士通プライマジーTX1320 M5とは?

スペック概要

富士通が販売するPRIMERGY(プライマジー)TX1320 M5は、タワー型の小型サーバーです。今回検討する構成は以下の通り:

項目仕様
CPUXeon E-2386G(6コア/12スレッド、最大4.7GHz)
メモリDDR4-3200 ECC 32GB(最大128GB対応)
ストレージ2.5インチ SSD 480GB×3台
筐体タワー型、約98mm×400mm×340mm
静音性実測約17dB(A)
拡張性PCIe Gen4 x8スロット複数、1GbE×2ポート
リモート管理iRMC S5(HPE iLO相当)

価格のお買い得度

新品で同等スペックを揃えようとすると、通常は十数万円以上の投資が必要ですが、中古市場では約5万円程度で購入できる場合があります。これは非常に割安な水準です。


Proxmoxインストール前の準備

必要な確認事項

中古品のため、インストール前に以下をチェックしておくことが重要です:

  1. BIOS/UEFI設定の確認

    • Secure Boot は無効化
    • VT-x(仮想化拡張機能)を有効化
    • Network Boot/PXEを優先設定にしておく(自動化時)
  2. iRMCの初期化

    • 中古品の場合、前所有者の設定が残っていることもあります
    • 工場出荷状態へのリセットを検討
  3. RAIDカードの有無確認

    • ハードウェアRAID運用を考える場合は、対応カードがあるか確認
    • なければ、Proxmox側でソフトウェアRAID(ZFS)を構築
  4. 電源ユニット

    • 250W/500Wモデルがあるため、冗長電源が必要な場合は500W版を確認

Proxmox VEのインストール手順

従来的なUSBブートインストール

最もシンプルな方法は、ISOメディアからのインストールです:

  1. Proxmox VE ISOの取得

    • 公式サイト(proxmox.com)からISOをダウンロード
    • Rufus や Balena Etcher を使用してUSBメディアを作成
  2. インストール実行

    • TX1320 M5をUSBブート起動
    • インストーラーのウィザードに従う
    • OS用SSDを1台選択(例:480GB×1)
    • ホスト名、rootパスワード、ネットワーク設定を入力
    • インストール完了後、再起動
  3. 初期設定

    • ブラウザで https://[サーバーIP]:8006 にアクセス
    • rootユーザーでログイン
    • ダッシュボードが表示されれば成功

PXE自動化で最強のリモート展開を実現

なぜPXE自動化がおすすめか?

  • iRMCライセンス不要:標準機能の電源ON/OFFのみで自動化可能
  • 複数台展開が容易:MACアドレスごとに異なる設定を適用可能
  • 完全リモート運用:ローカルでモニター・キーボード不要
  • 再インストール時も自動化:クラスタノードの置き換えが簡単

PXEサーバーの構築(既存の家サーバーで実行)

既存のクラスタに参加しているサーバーの1台をPXEサーバーとして使用します:

# Ubuntu/Debianの場合
sudo apt update
sudo apt install dnsmasq

# dnsmasqの設定
sudo nano /etc/dnsmasq.conf

設定ファイルに以下を追加:

# DHCP設定
dhcp-range=192.168.1.100,192.168.1.200,24h
dhcp-boot=pxelinux.0,pxeserver,192.168.1.10

# TFTP設定
enable-tftp
tftp-root=/tftpboot

Proxmox用PXEブートスクリプト

/tftpboot/pxelinux.cfg/default を作成:

default linux
label linux
  kernel /images/proxmox/vmlinuz
  initrd /images/proxmox/initrd
  append ip=dhcp url=http://192.168.1.10/proxmox-auto-install

自動インストール設定(user-data)

HTTPサーバーで配信する自動インストール設定ファイル:

# /var/www/html/proxmox-auto-install
---
global:
  keyboard: ja
  locale: ja_JP.UTF-8

network:
  iface: eth0
  proto: dhcp

disk-setup:
  filesystems:
    - target: /dev/sda
      discard: true
      content:
        - type: partition
          size: 512M
          content:
            - type: filesystem
              fstype: fat
              format: true
        - type: partition
          size: -1
          content:
            - type: lvm_pv
              volgroup: pve

  lvmgroups:
    - name: pve
      pvs:
        - /dev/sda2
      lvs:
        - name: root
          size: 20G
          content:
            - type: filesystem
              fstype: ext4
              format: true
              mount: /

hostname: pve-node-01
timezone: Asia/Tokyo

password: your-secure-password

TX1320 M5での実行

  1. BIOS設定

    • サーバー起動時にF2キーを押してUEFIメニューに進入
    • Boot設定でNetwork Boot/PXEを優先
  2. iRMCで電源ON

    • iRMC Web UIにアクセス → 電源ON
    • サーバーが自動的にPXEブート
    • DHCPでIP取得 → PXEサーバーから自動インストール開始
  3. 完了待機

    • インストール完了まで5~10分待機
    • 自動的にProxmoxが起動

既存クラスタへの参加手順

マスターノード側の準備

  1. Proxmox Web UI にアクセス
  2. データセンター > クラスタ > Join情報 をクリック
  3. 以下の情報をコピー:
    • クラスタ名
    • クラスタアドレス(マスターノードのIP)
    • Fingerprint(SSL証明書フィンガープリント)
    • Join情報(トークン)

TX1320 M5(新規ノード)側での参加

  1. Web UI https://[新規ノードIP]:8006 にアクセス
  2. データセンター > クラスタ > クラスタに参加 をクリック
  3. コピーした情報をペースト:
    • クラスタ名
    • クラスタアドレス
    • Fingerprint
  4. マスターノードのrootパスワードを入力
  5. 「クラスタに参加」ボタンをクリック

参加後の確認

  • 画面が一時的にフリーズする場合あり → ページをリロード
  • ログイン画面が表示されたら再度ログイン
  • ダッシュボードに新規ノードが表示されることを確認
  • マスターノード側でも データセンター > ノード に新規ノードが追加されているか確認

重要:複数ノードを同時に参加させるとクラスタが破損する可能性があるため、1ノードずつ実行してください


TX1320 M5のProxmoxクラスタでの活用法

ストレージ構成の最適化

SSD 480GB×3台を効果的に活用:

# ZFS RAIDZ1を構築(実効容量約960GB)
zpool create -f pve-storage raidz /dev/sda /dev/sdb /dev/sdc

# ストレージプールとしてProxmoxに登録
# Web UI → ストレージ → コンテンツ種別で VM/Container イメージを指定

ネットワーク設定

1GbE×2ポートを活用:

  • eth0:クラスタ通信(corosync)用
  • eth1:VM/コンテナのゲストネットワーク用
# /etc/network/interfaces の例
auto lo
iface lo inet loopback

auto eth0
iface eth0 inet static
  address 192.168.1.50/24
  gateway 192.168.1.1

auto eth1
iface eth1 inet manual

仮想マシン/コンテナの配置

Xeon E-2386G 6コア/32GBメモリの構成では:

  • Linuxコンテナ(LXC):4~6台程度
  • 仮想マシン(KVM):2~3台程度

が実用的な目安です。


iRMCライセンスなしで運用するコツ

標準機能で何ができるか

iRMCのライセンスなしでも以下は可能:

機能対応
電源ON/OFF/リセット✅ 可能
ハードウェア監視(温度・ファン・電源)✅ 可能
SNMP監視ツール連携✅ 可能
リモートコンソール(KVM)❌ ライセンス必要
仮想メディア❌ ライセンス必要

運用パターン

初期インストール時

  • ローカルでモニター・キーボードを接続してインストール
  • または PXE自動化を活用

運用中

  • iRMC標準機能で電源管理
  • SSHとProxmox Web UIで遠隔操作
  • SNMP経由で監視ツール(Checkmk等)と連携

ライセンスが欲しくなったら

  • 新品ライセンス:約2~5万円(高額)
  • 中古ライセンス:ヤフオク等で数千円程度で入手可能

「今すぐ必要」でなければ、中古市場をウォッチして必要に応じて後から購入する方が経済的です。


購入前に確認すべき重要チェックリスト

中古品購入時の確認項目:

  • 保証期間:残保証があるか、サポート内容は?
  • RAIDカード:ハードウェアRAIDカードの有無
  • 電源ユニット:250W or 500W?冗長電源対応か?
  • 消耗部品:ファン・電源の交換履歴は?
  • 動作確認:実際に起動・BIOS アクセスできるか?
  • 付属品:電源ケーブル・ドライバCD等は揃っているか?

まとめ:なぜTX1320 M5 + Proxmox + PXE自動化は最強か

  1. コスト:約5万円で新品十数万円相当の性能
  2. 静音性:17dB(A)でオフィス・自宅設置に最適
  3. 省スペース:タワー型でデスク脇に置ける
  4. 拡張性:メモリ最大128GB、ストレージ4台対応
  5. 自動化:PXEで完全リモート展開可能
  6. ライセンス不要:標準iRMC機能で十分運用可能

Proxmoxクラスタの追加ノードとして、または小規模オフィスのエントリーサーバーとして、このサーバーは極めて有力な選択肢です。初期投資を抑えながら、スケーラブルな仮想化基盤を構築したい場合は、検討する価値が十分あります。

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