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Appleシリコン(M1)がすごい理由は、ハードウェア・ソフトウェア・AIを一体設計し、チップ内のすべての部品が効率的に動作する「SoC構造」にあるということです。初代M1は2020年登場で5年が経ちましたが、日常的なPC作業ならまだまだ現役。ただし、用途によって「M1で十分」と「新世代が必要」が分かれるので、自分の使い方に合わせた選択が大切です。
2020年11月、Appleは初のAppleシリコン「M1」をMacに搭載しました。それまでMacはIntel製のプロセッサを使っていたのですが、M1登場で一気に状況が変わります。
Intel Macの時代、MacBook Airなどのノートパソコンは以下の問題を抱えていました:
M1搭載MacBook Airが発表されると、レビュアーから一斉に「革命的だ」という評価が上がります。その理由は:
このM1の成功で、Appleは**「自社チップ=最強」という新しい時代を切り開いた**わけです。
「Appleシリコンがすごい」という話をよく聞きますが、何がどうすごいのかを初心者向けに説明しましょう。
M1チップの内部には、大きく分けて3つの重要なパーツが入っています:
┌─────────────────────────────────────────┐
│ M1 チップ(SoC構造) │
├─────────────────────────────────────────┤
│ CPU(8コア) GPU(8コア) │
│ ├─ 高性能4コア └─ グラフィック │
│ └─ 高効率4コア 処理専門 │
│ │
│ Neural Engine メモリコントローラ │
│ └─ AI処理専門 └─ データ管理 │
│ │
│ ★ 全部が同じメモリを共有(統合メモリ) │
└─────────────────────────────────────────┘
M1のCPUは8コア構成です。ただし、全部が同じではありません:
高性能コア(4個):重い仕事用
高効率コア(4個):軽い仕事用
何がすごいのか?
Macが何をしているかを自動判断して、重い作業なら高性能コアを、軽い作業なら高効率コアを使い分けます。その結果:
という「両立が難しいことを両立させている**のです。
GPUはグラフィック処理専門の部隊です。M1には最大8コアのGPUが入っています。
CPUが「ストーリー(論理)」を考えるのに対し、GPUは「絵(映像)」を描く仕事をします:
何がすごいのか?
同じ価格帯のWindows機に入っている内蔵GPU(Intel Iris Xeなど)と比べると、M1のGPUは3~5割ほど処理が速いというベンチマーク結果が多いです。つまり:
という利点があります。
Neural Engine(ニューラルエンジン)は、AI・機械学習専用のプロセッサです。M1に16コア入っています。
このパーツの役割:
何がすごいのか?
AI処理をCPUやGPUに任せると、消費電力が大きく、バッテリーがすぐ減ります。でも、AI専用チップがあれば、少ない電力で高速に処理できるのです。
2024年以降、Appleが「Apple Intelligence」というOS組み込みのAI機能を推進しているのも、このNeural Engineの存在が前提になっています。
M1とIntel Macの最大の違いを一言で表現するなら:
Intel Mac = 別々の建物にある役所・倉庫・工場
M1 Mac = 1つのショッピングモールに全部入っている
Intel Macの場合、以下のパーツがマザーボード上に分散していました:
┌──────────────────────────────────────┐
│ Intel Mac のマザーボード │
├──────────────────────────────────────┤
│ │
│ [CPU] [GPU] [RAM] │
│ (Intel) (Intel/AMD) (別基板) │
│ │
│ ↓ ↓ ↓ │
│ ← データ移動が長い、時間がかかる → │
│ │
└──────────────────────────────────────┘
問題点:
M1の場合、CPU・GPU・Neural Engine・メモリコントローラが1つのチップに統合されています:
┌─────────────────────────────────────┐
│ M1 チップ(統合構造) │
├─────────────────────────────────────┤
│ │
│ ┌─ CPU ┐ │
│ ├─ GPU ┤ ← 全部が同じメモリを見る │
│ ├─ AI ┤ (統合メモリ構造) │
│ └─ 他 ┘ │
│ │
│ データ移動距離が短い、高速 │
│ │
└─────────────────────────────────────┘
メリット:
この「統合メモリアーキテクチャ」こそが、M1が省電力なのに高速である理由の核です。
理屈だけでなく、実際のベンチマーク数値で比較してみましょう。
Geekbench は、アプリ全体の処理速度を測るベンチマークです。
| 指標 | M1 MacBook Air | Intel Core i5-1135G7 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| Geekbench 5 シングル | 1,700 | 1,300 | M1が1.3倍 |
| Geekbench 5 マルチ | 7,500 | 5,000 | M1が1.5倍 |
| Geekbench 6 シングル | 2,600 | 2,100 | M1が1.2倍 |
| Geekbench 6 マルチ | 9,700 | 7,000 | M1が1.4倍 |
何を意味するか?
GPU性能は、Geekbench Metalで測定します:
| 機種 | スコア | 用途 |
|---|---|---|
| M1 MacBook Air(8コアGPU) | 18,000~22,000 | ライト~中程度の動画編集、3Dゲーム |
| Intel Iris Xe(96EU) | 12,000~16,000 | ブラウジング、軽い画像編集 |
| 差 | M1が3~5割上 | M1で快適な作業が増える |
何を意味するか?
理論値より、実作業での速度の方が分かりやすいです:
| 作業内容 | M1 MacBook Air(Final Cut Pro) | Windows機(Premiere Pro) | 差 |
|---|---|---|---|
| 5分の4K動画書き出し | 5~6分 | 8~10分 | M1が1.5~2倍速い |
| 本体温度 | 温かい程度 | 熱い | M1が優位 |
| ファン音 | ほぼ無音 | うるさい | M1が優位 |
何を意味するか?
バッテリー持ちは、Appleシリコンの最大の強みです:
| 作業内容 | M1 MacBook Air | Windows Core i5機 | 差 |
|---|---|---|---|
| ブラウジング中心 | 15~18時間 | 8~10時間 | M1が1.7~2倍 |
| Web開発(VS Code等) | 8~10時間 | 3~4時間 | M1が2~2.5倍 |
| 4K動画書き出し | 3~5時間 | 1~2時間 | M1が2~3倍 |
実体験ベース(レビューより)
何を意味するか?
M1 MacBook Airは、文字通り「丸一日、充電器なしで作業できるノートパソコン」です。これはWindowsノートでは実現困難な水準です。
「M1って古くない?」という疑問を持つ人もいるでしょう。ここで、Appleシリコンの進化を整理しておきます。
| 世代 | 登場年 | 特徴 | 対象用途 |
|---|---|---|---|
| M1 | 2020 | 初代。省電力と静音が革命的 | ライト~中程度ユーザー、学生、ブロガー |
| M2 | 2022 | CPU1.1~1.2倍、GPU1.3~1.4倍高速化。新デザイン | M1より少し速さを求める人 |
| M3 | 2023 | GPU強化(レイトレーシング対応)。M2比で2割高速化 | 4K動画編集、3Dゲーム本格派 |
| M4 | 2024~ | AI処理強化。マルチコア性能が大幅向上 | AI・機械学習、複雑なシミュレーション |
後継世代が出ても、M1が今でも評価される理由は:
ライト~中程度の用途では性能が余っている
価格が圧倒的に安い
バッテリー持ちと静音性は今でもトップクラス
ソフトウェアサポートはまだまだ現役
理屈より、実際に使った人の声が一番参考になります。
体験談①(開発者のレビュー)[8]
「中古のM1 MacBook Air(メモリ16GB、512GB)を購入して、Web開発(React / Laravel)を毎日やってます。Chromeでタブ10~20枚開いて、ターミナルで作業していても、バッテリーは8~10時間は余裕で持つ。以前使ってたWindowsノートは高負荷で2~3時間が限界だったので、『丸一日コード書いてもまだ残ってる?』ってレベルですね。」
体験談②(バッテリー実測テスト)[1]
「新品に近い状態のM1 Airを、Webブラウジング・メール・ドキュメント編集で丸一日テストしたところ、バッテリー残量85%の個体でも10時間前後使えました。新品なら15~18時間という記述も多いので、ほぼ正確な数字だと思います。」
発熱について
「軽~中程度の作業(Web開発、ブラウジング)では、本体がほんのり温かい程度で、膝の上に置いても不快になりにくい。ファンが回る気配すらない、という報告が大多数です。」
体験談③(Chrome連続使用テスト)[2]
「M1 MacBook Airでバッテリーテストをしました。Chromeでタブ20枚前後開いて、ブログ執筆・調べ物・YouTube視聴などをしていたところ、約16時間も動き続けました。同じテストを以前のWindowsノートでやると3~4時間で力尽きたので、バッテリー持ちは凄まじい差があります。」
「4K編集や長時間の書き出しでは、本体が『しっかり温かい~熱い』と感じるレベルになることもありますが、Intel時代の『キーボードまでアチアチ』という感じではなく、『熱いけど触れないほどじゃない』くらいに収まっています。バッテリー駆動は、フルHD中心なら5~7時間、4K素材ゴリゴリなら3~5時間というイメージです。」
「結局、どっちを買えばいいの?」という人のための、シンプルな比較表です。
| 項目 | M1 MacBook Air | 同価格帯Windows機(Core i5) |
|---|---|---|
| 価格帯 | 約12~15万円(新品)、7万円前後(中古) | 同等 |
| CPU性能 | Geekbench マルチで1.4倍速い | 標準的 |
| GPU性能 | 内蔵で十分、外付けGPU不要 | 軽い編集向け |
| バッテリー駆動 | 15~18時間 | 8~10時間 |
| 発熱 | 少ない(ファンレス可能) | 多い(ファン必須) |
| 静音性 | 非常に静か | ファン音あり |
| 重さ | 1.24kg | 1.2~1.3kg |
| 起動速度 | 数秒 | 10~15秒 |
| 軽い動画編集 | サクサク | やや遅延あり |
| 日常使用(ブラウジング等) | 非常に快適 | 快適 |
| Office互換性 | Microsoft 365で対応可 | 標準対応 |
| Windows専用ソフト | 使えない(代替アプリ必要) | 標準対応 |
結論:
難しい技術用語を避けて、日常的な例えで説明します。
M1のCPU構成(高性能コア4 + 高効率コア4)を説明するなら:
┌─ 営業所 ─────────────────┐
│ │
│ [正社員 4名] │
│ ├─ 重い案件を全力で処理 │
│ └─ 給料は高い │
│ │
│ [パート 4名] │
│ ├─ 日々の雑務を効率的に │
│ └─ 給料は安い │
│ │
│ 仕事内容で自動振り分け │
│ → 会社全体が高速&省電力 │
│ │
└───────────────────────────┘
ポイント:Macが「今は重い作業か、軽い作業か」を自動判断して、最適なコアを使い分ける。その結果、高速なのに省電力になる。
SoC(System on a Chip)構造を説明するなら:
【Intel Mac】 【M1 Mac】
┌─────────────┐ ┌────────────────┐
│ 役所(CPU) │ │ ショッピング │
└─────────────┘ │ モール │
↓ │ │
┌─────────────┐ │ ┌─ 事務所 │
│ 倉庫(RAM) │ │ ├─ 倉庫 │
└─────────────┘ │ ├─ 工場 │
↓ │ └─ その他 │
┌─────────────┐ │ │
│ 工場(GPU) │ │ 移動が短い │
└─────────────┘ │ = 高速&省電力 │
└────────────────┘
データ移動が長い
= 遅い&消費電力大
ポイント:バラバラの建物(Intel)より、1つのモール(M1)に全部入っている方が、データ移動が少なくて高速。
CPU・GPU・Neural Engine が同じメモリを使う仕組み:
【Intel時代】 【M1時代】
CPU用ノート
└─ データA ┌─ 共有ノート ─┐
│ │
GPU用ノート │ データA │
└─ データA(コピー) │ データB │
│ データC │
↓ 毎回コピーが必要 │ │
遅い&消費電力大 │ CPU/GPU/AI │
│ が全部見える │
└──────────────┘
コピー不要
= 高速&省電力
ポイント:CPU・GPU・Neural Engine が同じノート(メモリ)を見ているので、データをコピーする手間がゼロ。
「Macに乗り換えたいけど、Windowsと違うから不安」という人向けのガイドです。
良かった点
戸惑った点
対処法
良かった点
困った点
対処法
システム設定 → キーボード → キーボードショートカット
→ 修飾キー → Caps Lockキーを「Control」に変更
良かった点
注意点
対処法
失敗しないために、事前に確認しておくべき項目:
必須ソフトが「Mac版 or ブラウザ版」で使えるか
会社・学校のPCポリシーでMacが許可されているか
よく使う周辺機器(プリンタ、スキャナなど)がMac/Appleシリコン対応か
外付けHDD/SSDのフォーマット
データはクラウド中心に整理しておく
| 操作 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| コピー | Ctrl + C | Command + C |
| ペースト | Ctrl + V | Command + V |
| 保存 | Ctrl + S | Command + S |
| 全選択 | Ctrl + A | Command + A |
| アンドゥ | Ctrl + Z | Command + Z |
| ウィンドウ切り替え | Alt + Tab | Command + Tab |
| スクリーンショット | Win + Shift + S | Command + Shift + 3 |
慣れるまでの目安:最初の3日間はイライラするが、1週間で基本操作、2週間でほぼストレスなく使えるようになった、という体験談が多いです。
Windows機で使っていた外付けSSD/HDDが「NTFS」フォーマットの場合、Macでは読み取り専用になってしまいます。
対策:
Mac側の手順:
1. Finder で外付けドライブを右クリック
2. 「消去」を選択
3. フォーマットを「exFAT」に指定
4. 消去実行
Word / Excel / PowerPoint などのファイルは、Macでも問題なく開けます。
記事を書く時点での「今」を押さえておきましょう。
2024年から、Appleは「Apple Intelligence」というOS組み込みのAI機能を推進しています。
これらはAppleシリコン(特にNeu ral Engine)を前提に設計されているため、「Appleシリコン搭載Mac = 将来のAI機能をフルで使える」という価値が出てきました。
Appleシリコン開発を主導してきたジョニー・スルージ氏について、2025年末時点での状況:
最後に、「M1で十分か、新世代にするか」の判断基準をまとめます。
✅ 以下に当てはまれば、M1で十分です:
メリット:
⚠️ 以下に当てはまれば、新世代を検討する価値があります:
M2 MacBook Air の場合:
M3/M4 の場合:
Appleシリコン(M1)が革命的だった理由を、もう一度整理します:
CPU・GPU・Neural Engine・メモリコントローラを1つのチップに統合することで、データ移動が短くなり、高速なのに省電力という矛盾を解決した。
Appleが自社でチップもOSも設計しているため、無駄がなく、効率的に動作する。これはWindowsのように複数メーカーが関わる場合とは異なる。
2020年登場のM1でも、2025年時点で:
Appleシリコンの成功は、単なる「チップの性能」ではなく、「自社で全部設計する」という戦略にありました。
Intel時代は、Appleは「Intelが作ったチップを使う側」でした。性能や効率は、Intelの設計に依存していたわけです。
しかし、M1で自社設計に切り替えることで:
これが、Appleシリコンが「単なる高速チップ」ではなく、「Macというプラットフォーム全体を変える革新」として評価される理由です。
初心者向けに説明するなら:
「Appleシリコンは、Appleが『自分たちのMacに最適な頭脳を自分たちで作った』という決断から生まれた。その結果、Intel時代には考えられないほど、高速で省電力で静かなMacが実現した。」
この理解があれば、「なぜAppleシリコンがすごいのか」という本質が、初心者にも分かるようになります。
記事執筆時に参考にした情報源:
記事作成日:2025年12月9日
対象読者:Macに興味がある人、Windowsからの乗り換え検討中の人
難易度:初心者向け
推定読了時間:15-18分
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