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🎙️ 音声: ずんだもん / 春日部つむぎ(VOICEVOX)
ChatGPT AppsはE2Eテスト自動化の強力なサポートツールだが、「OSが立ち上がって自動操作してくれる」という期待値を正す必要がある。実際にはチャット内でコード生成・実行・結果報告が完結する統合型プラットフォームであり、生成コードの人間レビューを前提に導入することで、テスト工程の大幅な効率化が現実的に実現できる。
ChatGPT Appsは、OpenAIが2025年のDevDay発表で打ち出した次世代機能です。ChatGPTを単なる「対話型AI」から「実行型AI」へ進化させ、チャット内で外部アプリをシームレスに統合・操作可能にするプラットフォームです。
従来のChatGPTは「テキスト生成」に留まっていましたが、AppsはZillowの不動産検索、Canvaのデザイン作成、Expediaのホテル予約といった実世界のアクションを、チャット内で完結させます。開発者向けにはApps SDKとAgent Kitが提供され、カスタムアプリの構築や自律エージェントの実装が可能になりました。
この進化の本質は、「複数のアプリを連鎖的に実行し、複雑なタスクを自動化する」という点です。予約から決済まで、人間の指示一つで一連のプロセスが自動で進行する仕組みが、開発チームにとって強力な武器となります。
開発チームにとって、E2Eテスト(End-to-End Test)は重要ですが、工数がかかります。従来は以下のプロセスが手動で必要でした:
ChatGPT Appsはこれらのプロセスを大幅に短縮します。実際に、テスト工程全体を88%削減した事例が報告されています。
ChatGPT AppsでE2Eテストを自動化する最もシンプルな方法は、テスト対象のアプリケーション仕様をプロンプトで指定し、PlaywrightまたはCypressのテストコードを自動生成することです。
例えば、ホテル予約システムのテストを考えてみましょう。以下のようなプロンプトをChatGPTに入力します:
ホテル予約システムのE2Eテストを作成してください。
テスト対象: https://hotel.testplanisphere.dev/ja/
テストシナリオ:
1. ログインページにアクセス
2. テストアカウント(ユーザー名: ishihara、パスワード: password)でログイン
3. 東京のホテルを検索
4. 最初の結果を選択して予約
5. 予約完了ページが表示されることを確認
Playwrightを使用してPythonで実装してください。
ChatGPT Appsはこのプロンプトから、数分で以下のようなテストコードを生成します:
import asyncio
from playwright.async_api import async_playwright
async def test_hotel_booking():
async with async_playwright() as p:
browser = await p.chromium.launch()
page = await browser.new_page()
# ログインページにアクセス
await page.goto("https://hotel.testplanisphere.dev/ja/")
# ログイン
await page.fill('input[name="username"]', 'ishihara')
await page.fill('input[name="password"]', 'password')
await page.click('button[type="submit"]')
await page.wait_for_load_state('networkidle')
# 東京のホテル検索
await page.fill('input[placeholder="検索キーワード"]', '東京')
await page.click('button:has-text("検索")')
await page.wait_for_selector('.hotel-list')
# 最初の結果を選択
await page.click('.hotel-list li:first-child')
# 予約フローの実行
await page.click('button:has-text("予約")')
await page.wait_for_selector('.booking-confirmation')
# 確認
assert await page.is_visible('.booking-confirmation')
await browser.close()
asyncio.run(test_hotel_booking())
このコードは即座に実行可能で、ホテル予約フローの全体を自動テストします。従来は手動で実装に数時間かかるテストが、数分で完成するわけです。
さらに高度な利用方法として、BDD(Behavior-Driven Development)形式のGherkin仕様からコードを自動生成できます。これは、ビジネス要件とテストコード・実装の乖離を防ぐ強力なアプローチです。
例えば、以下のようなGherkin仕様を用意します:
# language: ja
フィーチャー: ホテル予約システム
シナリオ: ユーザーがホテルを検索して予約できる
前提 ログインページにアクセスしている
かつ テストアカウントでログイン済み
もし 東京のホテルを検索する
かつ 最初の検索結果を選択する
かつ 予約ボタンをクリックする
ならば 予約完了ページが表示される
このGherkin仕様をChatGPT Appsに入力すると、以下の3つが同時に生成されます:
これにより、「仕様→実装→テスト」の3つが一貫性を保ちながら同時に進行し、後から「テストと実装がズレていた」という問題が起きなくなります。
ChatGPT Appsは、Playwright codegenで記録したブラウザ操作を自然言語プロンプトに変換し、さらに最適化することも可能です。
具体的なフロー:
Playwright codegenで操作を記録
npx playwright codegen https://hotel.testplanisphere.dev/ja/
記録されたコードをChatGPTに入力
以下のPlaywrightコードを最適化し、テストアサーションを追加してください。
[codegenで生成されたコード]
ChatGPT Appsが最適化版を生成
このプロセスにより、記録したスクリプトを本番レベルのテストコードに昇華させられます。
ここで重要な誤解を正す必要があります。多くのユーザーは「ChatGPT Appsが立ち上がると、OSのような別ウィンドウが開き、その中でブラウザが自動操作される」というイメージを持ちがちです。これは正確ではありません。
ChatGPT AppsのE2Eテスト自動化は、以下のように動作します:
ステップ1:チャット内でテスト指示を入力
ホテル予約システムのE2Eテストを実行してください。
テスト対象: https://hotel.testplanisphere.dev/ja/
ログイン情報: ishihara / password
テストシナリオ: ログイン→検索→予約→完了確認
ステップ2:バックグラウンドで仮想ブラウザが実行
ステップ3:チャットに結果を返却
✅ テスト実行完了
- ログイン: 成功
- ホテル検索: 成功(3件検出)
- 予約処理: 成功
- 完了確認: 成功
実行時間: 12.3秒
[スクリーンショット1: ログイン画面]
[スクリーンショット2: 検索結果]
[スクリーンショット3: 予約完了]
このアプローチの利点は、「別ウィンドウを管理する手間がない」という点です。開発者はチャットに集中したまま、テスト実行・結果確認・修正指示を一貫して行えます。
ChatGPT Appsでのテスト自動化は、E2Eだけに限りません。段階的に活用することで、テスト全体の効率化が実現できます。
関数の仕様をプロンプトで指定すると、正常系・異常系・境界値をカバーしたテストコードが自動生成されます。
以下の関数のユニットテストを作成してください。
言語: Python (unittest)
関数:
def divide_numbers(a, b):
if b == 0:
raise ValueError("ゼロで割ることはできません")
return a / b
テストケース:
- 正常系: 10 / 2 = 5.0
- 異常系: ゼロ除算でValueError発生
- 境界値: 小数点計算の精度確認
生成されるテストコード例:
import unittest
class TestDivideNumbers(unittest.TestCase):
def test_normal_division(self):
self.assertEqual(divide_numbers(10, 2), 5.0)
def test_zero_division_raises_error(self):
with self.assertRaises(ValueError):
divide_numbers(10, 0)
def test_floating_point_precision(self):
result = divide_numbers(1, 3)
self.assertAlmostEqual(result, 0.333333, places=5)
このように、正常系・異常系・境界値が網羅的にカバーされます。
REST APIのエンドポイント仕様から、テストコード(pytest + requests)を自動生成できます。
APIのテストコードを作成してください。
エンドポイント: POST /api/users
リクエストボディ: {"name": "Taro", "email": "taro@example.com"}
期待されるレスポンス:
{
"id": 1,
"name": "Taro",
"email": "taro@example.com",
"created_at": "2025-12-31T00:00:00Z"
}
テストケース:
- 正常系: 201 Created
- 異常系: 400 Bad Request (メールアドレス不正)
- 異常系: 409 Conflict (重複ユーザー)
仕様書から、テストシナリオを自動生成することで、テスト網羅性が向上します。従来は25%程度の網羅性が、ChatGPT Appsの支援により35%まで向上した事例があります。
このように、ユニット→API→E2Eと段階的にテスト自動化を進めることで、全体的な品質向上と工数削減が実現できるわけです。
工数削減の実績
品質向上
保守性向上
人間レビューは必須
複雑なUIには対応困難
実行環境の準備が必要
企業でのテスト自動化導入では、以下のような成果が報告されています:
ChatGPT Appsを利用するには、ChatGPTのプランに加入する必要があります。以下は2025年12月時点の料金体系です。
| プラン | 月額料金 | Apps利用上限 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 制限あり(5時間で約10メッセージ程度) | 試験的な利用、軽いテスト |
| Plus | $20(約3,000円) | 高い利用上限 | E2Eテスト自動化の標準プラン |
| Pro | $200(約30,000円) | ほぼ無制限 | ヘビーユース、チーム全体での利用 |
| Team | $25~30/人/月 | チーム共有・管理機能付き | 複数チームでの運用 |
| Enterprise | 要問い合わせ | 無制限 | 大企業向け |
**E2Eテスト自動化を導入する場合、Plus($20/月)以上を推奨します。**理由は以下の通りです:
Free版は混雑時に制限がかかりやすい
Plus版なら十分な利用上限
Pro版は必要に応じて
以下のチェックリストで、導入を判断してください:
これらのうち3つ以上当てはまれば、Plus版($20/月)の導入で投資回収が可能です。
ChatGPT AppsでE2Eテスト自動化を本格的に運用するには、Agent Kitを活用してカスタムエージェントを構築することが推奨されます。以下は実装イメージです。
ステップ1:Agent Builderで自動化エージェントを設計
エージェント名: E2E Test Executor
目的: ホテル予約システムのE2Eテストを自動実行
入力: テストシナリオ(Gherkin形式)
出力: テスト結果レポート
処理フロー:
1. Gherkinシナリオを解析
2. Playwrightコードに変換
3. テスト環境を初期化
4. ブラウザ操作を実行
5. スクリーンショット・ログを取得
6. 結果をレポートにまとめる
ステップ2:Chat Kitでチャットインターフェースを構築
ユーザーがチャットで「ホテル予約フローをテストして」と指示すると、エージェントが自動実行。結果がチャット内にリアルタイム表示されます。
ステップ3:Evals for Agentsで性能測定
テスト実行の成功率・実行時間・カバレッジを自動測定し、エージェントの性能を継続的に改善。
以下は、実装するカスタムエージェントの概要です:
入力例:
「以下のGherkinシナリオを実行してください。
フィーチャー: ホテル予約
シナリオ: ユーザーが予約できる
前提 ログインページにアクセス
もし ishihara / password でログイン
かつ 東京のホテルを検索
かつ 最初の結果を予約
ならば 予約完了ページが表示される」
出力例:
✅ テスト実行完了
実行時間: 15.2秒
成功: 4/4ステップ
[スクリーンショット3枚]
[詳細ログ]
このように、チャットに指示を入力するだけで、複雑なE2Eテストが自動実行される仕組みが実現できます。
実際にChatGPT AppsでE2Eテスト自動化を導入する場合、以下のステップで進めることを推奨します。
環境準備
簡単なテストで試す
既存テストの置き換え
チーム内での知識共有
Gherkin仕様の導入
CI/CDパイプラインへの統合
人間レビュープロセスの確立
ChatGPT AppsはE2Eテスト自動化に実用的なツールです。ただし、「すべてを自動化してくれる魔法のツール」ではなく、「開発者の負担を大幅に減らすアシスタント」として捉えることが重要です。
ChatGPT AppsはAGIレース加速の文脈で発表された機能ですが、現時点での実用性は「開発効率化」という地に足の着いた領域にあります。期待値を適切に管理しながら導入すれば、チームのテスト自動化を大きく前進させることができるでしょう。
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