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🎙️ 音声: ずんだもん / 春日部つむぎ(VOICEVOX)
2026年のスマートフォン進化は「見た目の大ジャンプ」よりも、AI常用化・省電力化・折りたたみ普及による体験の質的変化が中心になります。部品コスト高騰で市場全体の価格が上昇する一方で、Apple・Samsungがシェア19%で競合し、オンデバイスAI対応機と非対応機の間に大きな機能格差が生まれます。最新スマホはPC並みの性能に近づきつつあり、日常用途ではノートPC以上の体感速度を実現しつつある状況で、ユーザーは「AIネイティブな体験」を前提に機種選択する時代へ移行していくでしょう。
2026年のスマートフォン業界は、かつてないほどの大きな転機を迎えようとしています。単なるスペック向上ではなく、市場構造そのものが変わる年になると予測されているのです。
2026年のスマートフォン市場には、一見すると矛盾した2つの現象が同時に起こります。それは価格上昇と出荷台数の縮小です。
Counterpointの市場調査によると、2026年のスマートフォン出荷台数は前年比2.1%縮小する見込みとなっています。一方で、平均販売価格(ASP)は6.9%上昇することが予測されています。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
その主な原因は、AIチップとメモリの部品コスト高騰です。具体的には:
生成AI向けメモリの価格は特に深刻で、2026年第2四半期までに最大40%の価格上昇が予測されています。これはスマートフォン市場全体に波及し、消費者の購買行動にも直接影響を与えることになります。
2026年のスマートフォン市場では、Apple と Samsung がそれぞれ19%のシェアを維持し、引き続きトップ2のポジションを占めると予測されています。
一方で、中国OEM(Xiaomi、Transsion、vivo、OPPO)の成長は1.7%増に抑制される見込みです。これは部品コスト高騰の影響を、中国メーカーがより強く受けることを示唆しています。
特に注目すべきは、Samsung のシェアが前年比4.6%増加する可能性があることです。これは折りたたみスマートフォン市場での先行優位と、新型Galaxy S26シリーズの投入によるものと考えられます。
2026年のスマートフォン進化の中でも、最も体験に直結する変化がオンデバイスAIの常用化です。これまで、生成AIはクラウド上で処理されるのが一般的でしたが、2026年には端末内で高速処理される時代へ移行します。
「オンデバイスAI」とは、スマートフォン内にAIモデルを搭載し、インターネット接続なしに端末内で推論処理を行う技術です。これは単なる技術的な進歩ではなく、ユーザー体験を根本的に変える変化をもたらします。
現在、オンデバイスAIの実用レベルについては、学術的な評価基準が確立されつつあります。重要情報の抽出タスクでは、オンデバイスLLMが70~85%程度の精度を実現しており、人間評価で「5段階中3.5以上=軽微な修正で使える」レベルに到達しています。
これは「一発で完璧な文章を出力する」ということではなく、「出てきた結果を少し直せばそのまま使える」という実用的なレベルです。iPhoneの純正オンデバイスAIチャット機能では、リアルタイム文章要約やリアルタイム校正を1台の端末上だけで瞬時に動かすことが可能になっています。
2026年に実用化されるオンデバイスAI機能は、以下のような日常タスクを中心に展開されると予測されています:
テキスト処理関連
画像・カメラ関連
音声・オーディオ関連
入力支援
重要なポイントは、オンデバイスAIがクラウドAIを完全に置き換えるわけではないということです。むしろ、業界全体ではハイブリッド構成が主流になると予測されています。
Samsung、Apple、Google などの大手メーカーも、以下のような役割分担を前提にしています:
この設計により、ユーザーは「通信環境が悪い場面でも基本的なAI機能が使える」という利便性と、「より複雑な処理が必要な場合はクラウドに任せられる」という柔軟性を両立できるようになります。
Phison幹部が指摘する「アダプティブ・オンデバイスAIソリューション」は、限られたメモリでもAI体験を成立させるための工夫が進むことを示唆しており、メモリ高騰への対抗手段としても機能します。
2026年のスマートフォン市場で、見た目の変化として最も大きなトレンドは折りたたみスマートフォンの普及加速です。特に、Appleが初めて折りたたみiPhoneを投入することが、市場全体を大きく変えることになります。
複数のメディア報道から、Apple は2026年末に初の折りたたみiPhone を投入する予定であることが明らかになっています。これまでAppleが折りたたみ市場に参入していなかったのは、技術的な課題や市場成熟度の問題があったからですが、2026年のタイミングで参入することで、市場は一気に「ニッチから大衆寄りの選択肢」へシフトするでしょう。
Apple が参入することの意味は、単なる「1メーカーの新製品投入」ではありません。iPhone ユーザーの購買パターンや、スマートフォンの形状に対する認識そのものが変わる可能性があります。Apple のデザイン哲学と、折りたたみ技術の融合がもたらす体験は、Samsungの Galaxy Z シリーズとは異なるアプローチになると予測されています。
Samsung も折りたたみ市場での優位性を維持するため、2026年に Galaxy Z Fold6 / Flip6 の後継モデルを投入する予定です。Samsung のシェアは前年比4.6%増加すると予測されており、これは折りたたみ市場の成長に大きく貢献するものと考えられます。
2026年の折りたたみスマートフォン市場では、以下のような競争構図が予想されます:
興味深いことに、2026年には折りたたみ市場の拡大と同時に、超薄型スマートフォンも強いトレンドとして登場します。iPhone Air や薄型Galaxy など、「折りたたむのではなく、極限まで薄くする」というアプローチも同時進行で進むのです。
この2つのトレンドは一見矛盾しているように見えますが、実は市場の多様化を示しています:
メーカーは両方のニーズに対応する必要があり、その結果としてフォームファクター(形状)の選択肢が大きく広がることになります。
2026年のスマートフォン市場を理解する上で、最も重要な要因がメモリ価格の高騰です。これが市場全体の構造を変える大きな力となります。
オンデバイスAIの普及には、端末メモリの大幅な増加が必須です。オンデバイスAIでは、モデルを端末メモリ上に常駐させる必要があり、スマートフォンでも12GB、将来的には16~20GB級RAMが必要と言われています。
これは「メモリ需要の削減」ではなく、逆に「メモリ増量が必須」という方向のトレンドです。同時に、AIサーバー向けの高収益メモリ(HBM、DDR5など)に生産がシフトしており、スマートフォン向け汎用メモリの供給が削られている構造的な問題があります。
Counterpointの予測では、メモリ価格は2025年に急騰した後、2026年も最大20%の上昇が見通されています。さらに詳細な分析では、生成AI向けメモリソリューションにより、2026年第2四半期までにメモリ価格が40%上昇する可能性があるとされています。
ここで重要な誤解を正しておく必要があります。「オンデバイスAIが普及すれば、AIサーバー向けメモリ需要が減り、スマートフォン向けメモリが安くなるのではないか」という考えは、残念ながら現実とは異なります。
その理由は以下の通りです:
オンデバイスAI=メモリ需要の増加要因: オンデバイスAIは端末内にモデルを常駐させるため、むしろメモリ搭載量を増やす圧力となります
AIサーバー側でも需要が継続: HBM・DDR5などのAI向けメモリ需要は、オンデバイスAI普及後も継続します。むしろ、クラウドAI側の処理負荷が変わるだけで、総メモリ需要は減りません
供給側の優先順位: メモリメーカーは利益率の高いAI向け製品にウェハを優先配分しており、この構造は2026年末まで続き、2027年も逼迫が無視できないとされています
つまり、少なくとも2026年~その直後くらいに「オンデバイスAI普及→AIメモリ需要低下→値下がり」という流れになる可能性は低いというのが、現時点の業界予測なのです。
メモリ価格高騰に対抗するため、スマートフォンメーカーは以下のような戦略を取る見込みです:
低~中価格帯の戦略
高価格帯の戦略
この結果として、低~中価格帯はスペック抑えめ、ハイエンドはAI・カメラ集中強化という二極化が顕著になります。
2026年のスマートフォンを語る上で、見落とせないのがスマートフォンのプロセッシング性能がPC並みに近づいているという事実です。
2025年から2026年にかけての最新ハイエンドSoC(System on Chip)のベンチマーク結果は、驚くべき数字を示しています:
これらの数字は、数年前のノートPC用CPU~現行の低消費電力モバイルCPUと同等レベルに達していることを意味しています。
日常用途(Web閲覧、動画視聴、SNS、軽い編集、カジュアルゲーム)では、最新ハイエンドスマートフォンは多くのノートPCよりもキビキビ感じる場面が出てきているのです。これはSoCの高速化、ストレージ(UFS 4.0など)の高速化、OS・アプリの最適化が効いた結果です。
ただし、「スマートフォンがPC並み」という表現は、正確には「どのPCと何を比べるか」で大きく変わります:
スマートフォンが優位な領域
PCが圧倒的に優位な領域
スマートフォンSoCは1~数W級の省電力枠内で動く設計のため、TDP(熱設計電力)45W級のノートPC CPUとは「瞬間性能」よりも「持続高負荷性能」で差が出ます。
2026年以降、スマートフォンとPCの競争軸は、「純粋なCPU性能」から「AI処理能力」へシフトしていくと予測されます。
NPU(Neural Processing Unit)やGPUを含めた「オンデバイスAI」向け性能では、最新スマートフォンSoCは、薄型ノートPCの内蔵GPU+CPUだけでやるより有利なケースも出てきています。
一方、大規模モデルの学習・推論は依然としてクラウドGPUや高性能PC側の領域です。ただし、日常用途のAI処理(要約・翻訳・画像編集など)では、スマートフォンの方が高速・省電力である可能性が高いのです。
2026年のスマートフォン市場で懸念される問題が、古いスマートフォンと最新機種の間に生まれるAI体験の格差です。
起きそうな「2極化」は、実は2つのレイヤーに分けて考える必要があります:
体験レベルの格差
リテラシーレベルの格差
重要な点は、「AIが全く使えない」わけではないということです。古いスマートフォンでも、ブラウザやアプリ経由での**クラウド型生成AI(ChatGPTやGeminiなど)**は利用可能です。
実際のデータを見ると、生成AIを使う人の約67%がスマートフォンから利用しており、特に10代では「生成AIを使う人の約8割がスマートフォン利用」となっています。高校生では6割がスマートフォンで生成AIを利用しており、PCよりもスマートフォンでの利用が圧倒的に多いのです。
つまり、AIリテラシー=新機種ユーザーだけのものにはなっていません。むしろ格差が出やすいのは:
といった利用習慣や環境側なのです。
2026年以降、重要になるのは「オンデバイスAI対応スマートフォンの有無だけで決まるのではなく、『AIに毎日自然に触れる機会の差』が広がる」という認識です。
古いスマートフォンを使い続けるユーザーも、意識的にクラウドAIサービスを活用すれば、最新機種ユーザーに匹敵するAIリテラシーを身につけることは十分可能です。ただし、「AIを前提に仕事・学習・生活を設計する発想」が育ちやすいのは、確実に最新機種ユーザーになるでしょう。
2026年のスマートフォン市場を語る上で、最後に見落とせないのが、OpenAI × ジョニー・アイブの新型AIデバイスです。これはスマートフォンの範疇を超えた、新しいカテゴリのデバイスになる可能性があります。
2025年5月、OpenAIが元Appleデザイナーのジョニー・アイブ氏のスタートアップ「io」を65億ドルで買収・合併しました。この提携の目的は、「AIを自然に使える道具」の開発です。
コンセプトは「スクリーン疲れを解消するAIファーストデバイス」で、スマートフォンやスマートスピーカーとは異なる新しいカテゴリを目指しています。クラウドAIを活用しながら、人間らしいインターフェースで創造性を引き出すことが目標とされています。
法廷文書や報道からリークされた情報によると:
形状・サイズ
機能・コンセプト
開発状況
発売予定
重要な点として、価格と日本語対応については、現時点で公式情報・信頼できるリークは出ていません。
価格については、主要な報道やリーク記事で「発売時期・コンセプト・開発の難航」までは詳しいものの、価格帯には一切触れられていません。量産時期も「2026年末~2027年以降の可能性」などと幅があり、原価もクラウド利用料も読みにくいため、現時点での推測は根拠がありません。
日本語対応については、OpenAI本体のサービス(ChatGPTなど)が日本語に対応していることから、対応の可能性は高いと推測できますが、公式に「日本語対応する」とは一度も明言されていません。
このOpenAI × ジョニー・アイブのデバイスが2026年~2027年に本格化すれば、スマートフォン市場に大きな影響を与える可能性があります。
スマートフォンメーカーは、従来のスマートフォン競争に加えて、「AIアシスタント機能」の競争に直面することになります。Apple、Google、Samsungなども、同様のAIデバイスの開発を加速させる可能性が高いです。
2026年のスマートフォン市場の複雑さを理解した上で、実際に「どのスマートフォンを買うべきか」という判断をするために、購入ガイドをまとめます。
Google Pixel 9/10シリーズ
Samsung Galaxy S24/S25シリーズ
iPhone 16/17シリーズ(Apple Intelligence対応)
2026年の部品コスト高騰を考えると、中価格帯(300-500ドル)モデルの選択肢が限定される可能性があります。この場合、以下の選択肢を検討してください:
2026年のスマートフォンは、オンデバイスAI対応が「標準」になりつつあります。3年~5年の長期使用を前提とする場合は:
2026年のスマートフォン市場は、単なるスペック向上ではなく、ユーザー体験そのものが変わる転換点になります。
オンデバイスAIの常用化により、スマートフォンは「情報を検索するデバイス」から「情報を処理・創造するデバイス」へ進化します。折りたたみスマートフォンの大衆化により、フォームファクターの選択肢が大きく広がります。そして、メモリ価格高騰による二極化により、ユーザーは「AIネイティブな体験」を前提に機種選択する時代へ移行します。
部品コスト高騰で平均販売価格が6.9%上昇する一方で、最新スマートフォンはPC並みの性能に近づきつつあり、日常用途ではノートPC以上の体感速度を実現しています。
2026年は、スマートフォンの歴史の中でも、特に重要な転換点になると言えるでしょう。
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